デンタルアドクロニクル 2021
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との関連性があるということがだんだんわかり、口腔衛生にしっかり取り組むと国民のQOLの向上にもつながることも明らかになってきたのです。 そして、私の同級生の前田芳信先生が当時、大阪大学歯学部の病院長を務められていたので、そのご縁で歯科に関するさまざまなアドバイスをいただくようになりました。そして前田先生が大学を退職されるのを機に、一緒に「オーラルケアステーション本町歯科」(大阪府)(図7)をスタートさせ、現在は医療法人として歯科医院を運営しています。 設立から2年ほど経ち、歯科界でのネットワークもできていくなかで、天野先生が予防歯科分野でご活躍されて図7 医療法人サラヤ健育会「オーラルケアステーション本町歯科」(大阪市中央区本町3-6-4 本町ガーデンシティ4F)。2018製品が生まれました。当時を振り返ってみていかがでしょうか。天野:ありがとうございます。更家社長の熱い想いが伝わってきました。 サラヤ社と同じような業種の企業は、オーラルケアの商品ラインが多数ありますので、それらの開発に興味があるとお聞きした当初は、ついに本格参入されるのかと思いました。 当時、私の教室ではウコンの抗歯周病菌作用について研究していました。地味な研究にもかかわらず、サラヤ社はそこに興味をもたれました。さすがユニークな商品を開発している自然派の会社だと思ったのを覚えています。更家:当社の事業の根底にあるのは予防ですが、創業の原点は感染対策です。その意味でも「人類最大の感染症」といわれる歯周病は、取り組むべき大きなテーマと考えています。しかも天野先生と一緒に研究をさせていただくなかで、ウコンにはたいへん興味深い働きがあるとお聞きしました。当社は、創業からできるだけ天然素材を用いた商品開発を行っているので、この天然素材をうまく使うことができればと思ったのです。さいわい、ウコンの有効性が研究によって明らかになってきて、ウコンに含まれるクルクミンという成分に歯周病の原因菌であるPgいるということを知りました。特に天野先生の歯周病に対する研究や考察などから、ぜひその取り組みをご一緒に研究させていただきたいと思いまして、大学に講座を設けて当社の研究員を派遣し、ご指導いただいています。 したがいまして、当社の事業の根底にある予防という観点からも、オーラルケア市場への参入は自然な流れであったと思います。天野先生、私しゃべりすぎましたね(笑)。ウコンで歯周病予防の歯磨剤サラヤ社ならではの商品開発――サラヤ社と大阪大学大学院歯学研究科との共同研究から、オーラルケアQuint Dental AD Chronicle 202152

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