デンタルアドクロニクル 2021
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菌に対する増殖抑制効果があることがわかりました。そこで、このクルクミンを配合した歯磨剤「クルクリンPGガード」(図8)を発売して、現在周知と普及に努めています。天野:サラヤ社の歯磨剤「クルクリンPGガード」に配合されているクルクミンが効果を発揮する歯周病菌は、日本人の成人の約6割が罹患しています。その6割の方にこの歯磨剤を使っていただければ、歯周病予防への貢献度は高いと思いますよ(笑)。 このクルクミンの研究は、当時大学院生で現在は大阪市で開業されている泉井秀介先生が頑張ってくれました。彼はカレーが大好きで、「カレーは万病に効く」と東南アジアで言われているというので、このテーマで研究をしたいと言ってきたのです。そのときは「変わったやつだなぁ」と思ったのですが、研究を進めていくとクルクミンが歯周病に効くということがわかり、その研究論文が英文誌に掲載されたのです(図9)。 その論文に興味をもっていただいたのが御社のバイオケミカル研究所の方でした。そこで、大阪大学大学院歯学研究科との共同研究を始めていただき、その研究成果が今回の商品になったわけです。実はごく最近、再びクルクミンに関する英語の論文を書かなけ図8 「クルクリンPGガード」薬用ハミガキ。2019ウコン由来成分のクルクミンればいけないことになったので、あらためてクルクミンに関する数多くの論文を読みあさりました。 そうすると、本当に歯周病に効果があるだけではなくて炎症を抑えたり、組織の再生を促進させたり、さらにはがんや認知症にも効くなどの結果が報告されていたのです。研究を通じて「万病に効果があるというこのクルクミンはいったい何者なんだ!」ということを思った次第です。更家:クルクミンは英語名でターメリックといって、ご存じのとおりカレーにたくさん入っていますよね。私たちは、クルクミン5ppm以上でPg菌の増殖抑制効果があることに興味をもちました。 商品化にあたっては、クルクミンは溶けにくい性質があるのですが、それを当社の技術的なイノベーションによって可溶化させることに成功しました。また、クルクミンを可溶化させるとさらに効果を発揮することもわかってきました。天野:御社から「クルクミンを可溶化させることができた」と報告いただいたときはビックリしました。今までいろいろなウコンの商品があるなかで、ナノ化して細かくした製品はあったのですが、可溶化できたものはありませんでした。われわれが実験する時は、人には用いられないような強力な可溶健康長寿社会の実現に向けた の挑戦53

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