デンタルアドクロニクル 2021
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民のQOLの向上につなげ、その結果、医療費削減にも貢献できるように取り組んでいきたいと考えています。天野:国民が口の健康の価値を知るということは大事ですが、私の立場からは、なぜ歯周病が起こるのかということを歯科医師に正しく理解していただきたいと思います。更家社長もご存じのPg菌の名前を知らない歯科医師が結構いるのです。 私が1984年に歯学部を卒業した時は「削る・詰める・被せる」の歯科治療が全盛期でした。当時はいかに速く、美しく、正確に削って被せるかばかりを私たちは競い合ったわけです。その中には、現在注目されているような「防ぎ守る」や予防歯科という考え方はまったく歯科医師の頭にありませんでした。それは歯科衛生士が行う仕事だと思っていたからです。 ところが21世紀になって、防ぎ守る、予防というのが実は大事だというできる環境を整備する、そしてその取り組みを知っていただくような積極的な情報発信を行うことも求められていると思います。天野:海外の報道では、新型コロナウイルスが流行り始めた2020年3月あたりから感染リスクがもっとも高い職業として、歯科医師と歯科衛生士が取り上げられました。しかし、国内ではいまだに歯科治療を介して新型コロナウイルスに感染した人は報告されていません。以前、大阪府知事と大阪市長の会見でポピドンヨードでうがいをすると重症化予防に効果があると報道されましたが、歯科治療の前にうがいをすることは感染予防にも効果がありますので、マスクを取ったら口を開く前に御社が提供しているうがい薬「コロロ」(図3)でうがいをしていただくと良いかと思います。 新型コロナウイルスはまだ十分なエビデンスがありませんが、インフルエンザウイルスと口腔ケアについてはエビデンスがあります。口腔内を清潔に保つことによって全身疾患の重症化を防ぐことができますので、ぜひ実践していただいきたいと思います。更家:骨折したり事故に遭ったりするとすぐに病院に行かざるを得ないのですが、歯科は「痛くなってから行く」というイメージがまだありますから、私たちはプロフェッショナルケアとセルフケアをとおしてオーラルヘルスを普及させたいと思います。また正しい知識とエビデンスに基づいた商品作りやサービスを展開していくことで国本対談は感染予防に配慮したうえで2020年12月に収録しました。お問い合わせ先サラヤ株式会社〒546-0013 大阪市東住吉区湯里2-2-8https://www.saraya.com/ことになってきたのです。口腔内がボロボロになってからリハビリテーションを行うことは結構大変なのです。最後は義歯があるといっても、やはり自分の歯がいいに決まっています。ではそうならないように予防しようと。それには歯科の2大疾患であるう蝕と歯周病の予防。う蝕予防はかなり効果が出てきましたので、あとは歯周病予防です。まず歯科関係者が、歯周病に関する知識を正しく理解していただいて、それを患者さんに伝える。患者さんは大切な家族や友人に伝え、お口の健康を守っていただくようにしていただきたいと思います。 お口の健康が全身の健康にいかに大事かということは、徐々に国民の理解が得られるようになってきました。古来から「口は健康の入口、魂の出口」と言います。もっと健・・口に関心をもっていただきたいと願っています。更家:魂の出口ですね(笑)。私たちも心がけてまいりたいと思います。――本日はありがとうございました。健康長寿社会の実現に向けた の挑戦57

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