デンタルアドクロニクル 2021
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97てシュアスマイルのシミュレーションなどはどのような手順でしょうか。荒井:今のところシュアスマイルには、簡易シミュレーションのような機能はありません。一方で、CTのデータを取り込むことができ、骨の状態を見ながらシミュレーションができることが一番の違いだと思います。山﨑:そこは1つのアドバンテージになっていますよね。私は約40年間、自分自身でも、著名な矯正専門医ともタイアップし、マルチブラケットのすばらしさというのは認識しています。ところがインビザラインを始めたときの驚きは患者さまのニーズでした。やはりブラケットは嫌だし、これぐらいならブラケットなしではできないのかと。また、海外で毎年10回程講演すると、矯正専門医でもアライナーを使っている先生が多いのです。この2点から導入してみて、患者さまのニーズに応え、なおかつ想像していた以上にきちんとコレクションできていました。すべての矯正治療に活用することは厳しいと思いますが、各メーカーが経年的なデータを得て、さらに改善すれば、すばらしいマテリアルになると感じています。インターディシプリナリーにおけるアライナーの優位性尾島:今回のテーマはインターディシプリナリーですので、もし今から補綴治療を含む矯正治療において、マルチブラケットシステムもしくはアライナーで治療計画そして治療を行う場合の考え方でなにか違いがありますか。甘利:私は、矯正治療はラビアル、リンガルともに行いますので、アライナーにもっていきやすいところまで、まず従来のワイヤーベンディングで動かしてから、細かい部分をアライナーを使用して治療することが多いです。そのほうが、意外とスムーズに並んでいくと思います。長尾:私も基本的には甘利先生と一緒ですが、まずゴール設定が重要だと思います。大臼歯を動かす必要がなければインビザラインGoがよいですし、大臼歯の位置を動かさなければならないときはインビザラインやマルチブラケットで行うこともあります。ゴール設定が明確であれば、よりシンプルに矯正できるようになります。築山:私は自分では矯正をしていませんので、ほとんどは連携している先生のコンセプトによります。ただ歯周病の専門医としては、たとえば結合組織移植などは矯正の前後で行うことが多いですが、骨に切り込みを入れたりグラフトをするときに圧倒的にインビザラインのほうがやりやすいなというのが今は実感としてあります。アライナー矯正によって介入するタイミングの自由度は向上したと考えています。五十嵐:基本的に補綴を前提としている場合は、インビザラインでの治療を考えています。特にスペースの確保などはインビザラインのほうが治療を進めやすいと感じています。もしマルチブラケットを選ぶとしたら、たとえば全顎的にセラミックなどの補綴が入っていて、どうしてもアタッチメントが付けられない場合や、歯周病で動揺がありどうしてもアライナーの着脱時にリスクがあると考える場合は、ワイヤーを選ぶかもしれません。ただ基本的には、インビザラインを第一選択として考えています。山﨑長郎氏山﨑長郎氏原宿デンタルオフィス院長原宿デンタルオフィス院長五十嵐祐二氏五十嵐祐二氏五十嵐歯科室院長五十嵐歯科室院長築山鉄平氏築山鉄平氏つきやま歯科医院院長つきやま歯科医院院長長尾龍典氏長尾龍典氏ながお歯科クリニック院長ながお歯科クリニック院長甘利佳之氏甘利佳之氏アマリ歯科クリニック院長アマリ歯科クリニック院長荒井昌海氏荒井昌海氏エムズ歯科クリニック理事長エムズ歯科クリニック理事長

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