QDI ダイジェスト見本誌2020
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広汎型侵襲性歯周炎が…… 初診は2005年2月、33歳男性の患者である(図1〜4)。10代後半から歯肉出血を自覚しだし、2000年に大学病院歯周病科にて全顎的なフラップ手術を受けていた。しかしその後も症状は改善せずに、歯肉の腫脹を繰り返していたそうである。さらに、歯の動揺や知覚過敏などの症状が強くなり、その時点では歯周病の治療を諦めてインプラント治療を希望し、大学病院の口腔外科を受診した。そこでは、「インプラントだけで対応するならば少なくとも7本程度、場合によってはそれ以上の抜歯が必要」との説明を受け、一度歯周病専門医の意見を聞いてはどうかということで当院を紹介された。初診〜SPT移行図3 同デンタルX線写真。図2のパノラマX線所見よりも鮮明に歯槽骨の吸収が観察できた。第一大臼歯部と前歯部に垂直性骨吸収像が認められるのは、侵襲性歯周炎の典型的な特徴である。歯周病の検査の場合、デンタルX線は必須であるが、アーチの変曲点である犬歯部と最遠心部である第二大臼歯遠心を網羅するならば14枚が必要になる。図2 同パノラマX線写真。上下顎の左右第一大臼歯部ならびに上下顎前歯部に顕著な骨吸収像が観察された。図1-a〜e 初診時口腔内写真(2005年2月)。₆₄は挺出、₂の唇側部および₆の頬側部には根尖にまで及ぶ歯肉退縮、₂は歯の転位、下顎前歯部には叢生が存在した。adbec初診時 (2005年2月)1図4 同歯周精密検査結果。判定:×=抜歯、▲=歯周外科を行ったとしても予後に不安が残る、△=歯周外科を行うことで保存可能、◯=歯周基本治療で対応可能。この判定は担当医の技量に依存するものであり、普遍的な判定ではない。したがって、担当医にしかわからない医療の現実であり、他人が介入できる項目ではない。判定×○△○▲△×△▲×△○○×▲×根分岐部動揺度1010201002000311ポケット4④4234④⑤④222222222222225⑤3⑥⑥2222⑤32222②⑩⑧⑧⑤⑥⑧3⑤⑤⑤④④④33⑥⑤⑤4③③③③④⑤③⑦④③③④③⑤43⑤⑤33③③④②②2222②2⑥42⑤44④部位8765432112345678ポケット④④④444⑤⑦3③③③③③③③③③33⑤222②②②②②②③②②②②③22⑤2⑦⑤223③③⑤⑤⑤⑤4③③④⑤2②22③④⑤⑤3④③3⑥③③③③③⑤④③⑤⑤22③33②323⑤⑤⑤⑤⑤⑤⑤⑤動揺度1020003100000201根分岐部331331判定×△×○△△▲△△△△○△×△×221a:1歯単位の診断b:個人レベルの診断3331患者の人生主導型インプラント治療 ─長期予後のこれまでとこれから─特集1 初診は2005年2月、33歳男性の患者である(図1〜4)。10代後半から歯肉出血を自覚しだし、2000年に大学病院歯周病科にて全顎的なフラップ手術を受けていた。しかしその後も症状は改善せずに、歯肉の腫脹を繰り返していたそうである。さらに、歯の動揺や知覚過敏などの症状が強くなり、その時点では歯周病の治療を諦めてインプラント治療を希望し、大学病院の口腔外科を受診した。そこでは、「インプラントだけで対応するならば少なくとも7本程度、場合によってはそれ以上の抜歯が必要」との説明を受け、一度歯周病専門医の意見を聞いてはどうかということで当院を紹介された。初診〜SPT移行図3 同デンタルX線写真。図2のパノラマX線所見よりも鮮明に歯槽骨の吸収が観察できた。第一大臼歯部と前歯部に垂直性骨吸収像が認められるのは、侵襲性歯周炎の典型的な特徴である。歯周病の検査の場合、デンタルX線は必須であるが、アーチの変曲点である犬歯部と最遠心部である第二大臼歯遠心を網羅するならば14枚が必要になる。図2 同パノラマX線写真。上下顎の左右第一大臼歯部ならびに上下顎前歯部に顕著な骨吸収像が観察された。図1-a〜e 初診時口腔内写真(2005年2月)。₆₄は挺出、₂の唇側部および₆の頬側部には根尖にまで及ぶ歯肉退縮、₂は歯の転位、下顎前歯部には叢生が存在した。adbec初診時 (2005年2月)1Quintessence DENTAL Implantology 2020 ダイジェスト見本誌2

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