QDI ダイジェスト見本誌2020
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 Basic連載にあたって 筆者が大学を卒業した約20年前は、インプラント治療の導入に否定的であった各大学がインプラントの研究と臨床を積極的に手掛け始めた時期でした。開業医を中心にさまざまなタイプのインプラントが導入されていましたが、大学はトラブルを請け負うことも多く、そのコンセプトに対する疑念は根強いものでした。この風向きを大きく変えたのがオッセオインテグレーションの概念に立脚したインプラントです。オッセオインテグレーテッドインプラントは多くの基礎的研究と臨床結果、システマティックな治療術式が評価され、欠損補綴法としての地位を徐々に確立していきました1〜3)。 その後、骨増生をはじめとする周囲組織のマネジメントが一般的になり、インプラントは前歯部審美領域を含む解剖学的難症例にまで適応範囲を広げました。しかし、近年になって手術時の偶発症やインプラント周囲炎に代表される機能開始後の合併症の報告が蓄積されることにより、その評価は二分されるに至っています。この傾向は全世界共通の事象で、わが国においてもトピックスは適応拡大から「安心・安全」や高齢社会に準じた「長期安定」に変化しつつあります。 では、インプラントはそんなに批判されるべきものなのでしょうか。保険適応外治療のインプラントが医院の経営的側面を担う形となり普及を速めた一方で、誤った認識を世間に浸透させてしまった事実は否定できません。しかし、咀嚼機能の維持回復を目標とする歯科医療の中で「欠損」という引き算からの再構築を余儀なくされていた歯科臨床に、足し算の概念を持ち込んだインプラント治療がいかに革新的で価値があるものなのか。誤った先入観を是正し、世紀の発見と先人たちの努力の結晶を正しく引き継いでいくことがわれわれの世代の責務であると考えています。 本稿では、1歯欠損のインプラント治療を通じて、あらためて医学的根拠と冷静な適応判断、正しい行程と意義を考える機会にしたいと思っています。Basicインプラント治療の現在地 われわれ歯科医師の認識として、インプラント治療は臨床成績のみならず、その科学的検証の蓄積においても十分医療技術として地位を築いているという認識に異論はないでしょう。しかし、インターネットでインプラント治療について検索してみると、上位にくるキーワードは「インプラント治療 費用」「インプラント治療失敗 芸能人」「インプラント治療 トラブル」などです。残念ながら、われわれ歯科医師と患者との間にはインプラント治療に対する認識に大きな溝が存在することがわかります。 2019年3月、国民生活センターが報道資料として「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか─なくならない歯科インプラントにかかわる相談─」4)を公表しました(図1)。これは2011年12月に公開された同センターによる「歯科インプラント吉野 晃 Akira Yoshino東京都開業:吉野デンタルクリニック日本口腔インプラント学会認定専門医自信をもってインプラントを語ろう第1回1歯欠損から始める 安心・安全なインプラント治療108Quintessence DENTAL Implantology─ 0108P108-113_QDI01_Basic_yosino.indd 1082019/12/11 16:20 治療に係る問題─身体的トラブルを中心に─」5)に続くもので、これを受け関連学会・行政機関は、適切なインプラント治療の推進のため治療指針の整備の必要に迫られました6)。 しかし、国民生活センターの資料を紐解いてみると少し違った側面が見えてきます。インプラントの危害件数を統計的に処理し事例を挙げて説明を加えていますが、なかには歯科医師の未熟さに起因する事例もあり、再発防止のため全力を尽くさなければならないものがあるのも事実です。しかしながら、危害というよりもインプラント治療の性格上想定されたものの、患者との意思疎通不足に起因すると思われるものも少なくありません。インプラント治療に関する歯科側の認識と患者の期待値の差が危害報告という形で表面化していることに筆者は危機感を覚えます。 同時にこの報告では、他の欠損補綴に比べてインプラント治療の満足度が高いことも浮き彫りになっています。「インプラントありき」ではない冷静な判断と、患者とのコミュニケーション、情報過多のなかで専門家としての正しい立ち位置が改めて求められているのだと思います。Basicインプラント治療は是か非か 欠損歯列に対する補綴治療の目的は「歯および周囲組織の欠損から生じる咀嚼・発音機能や審美性の低下を回復し、患者のQOLの改善を図ること」とされています7)。多様な治療法の中から1つを選択する臨床判断を求められたとき、インプラント治療は最優先の治療法として選択されうるものなのでしょうか? 2006年のAOのコンセンサスレポート8)では、さまざまな状況下でのインプラント治療の有効性を検討した結果、現在インプラントを臨床の第一選択とする臨床ガイドラインを確立するにはエビデンスが不十分であり、インプラントに取り組む前に天然歯の保存を考えるべきとしています。 また、筆者はインプラント治療を行うかについて悩まれている患者から「もう少しまてば技術が進歩してインプラントはもっと良くなるのではないか」「iPS細胞をはじめとする再生医療によりインプラントではない歯の再生が可能になるのではないか」という質問をよく受けます。 読者の先生方はどうお答えになりますか? 失った歯を復元することは人類の大きな夢の1つです。インプラントは顎骨内で単独埋入を可能にし、口腔という厳しい環境の中で毎日の咀嚼機能を担うことができます。しかも、すべての歯科医師が簡略化された同一のシステムで施術することができ、比較的安価にもかかわらず高い成功率と長期の機能回復が期待できます。再生医療の進化は、いずれ歯の再生を可能にするかもしれませんが、歯はその形態と機能が重要です。マウスの腹腔にできる歯牙様構造物が即座に機能する可能性は低いでしょう。たとえ臨床応用ができたとしても、患者が受けるコストの負担は予想できません。まだまだ検証が必要です。 以上をふまえ、筆者は「高い臨床成績と蓄積された基礎研究、シンプルな治療ステップ、コスト、アフターフォローの充実度を考えた場合、失った歯の代用としてオッセオインテグレーテッドインプラントに代わる治療法はしばらく出てこないでしょう。そういう意味ではインプラント治療はもっと評価されるべきと考えています」とお答えしています。 それを前提に、インプラント周囲炎や高齢社会でのインプラントの現状と今後の課題などのリスクをしっかりとお話しし、生物学的に天然歯とは異なることも十分に理解してもらったうえで、あらためてインプラント治療を行うかを判断していただいています。図1 インプラントの危害件数を統計的に処理し事例を挙げて説明している。一読していただきたい。(文献4より引用・改変)痛みインプラントのぐらつき・脱落・要撤去腫れ化膿・炎症麻痺・痺れ噛み合せが悪い・合わない埋入位置・深さ・角度等の不良出血神経への影響(圧迫・損傷)アレルギー・かゆみ顎骨への影響(吸収、貫通など)インプラントの破損(欠け・折れ)顎関節症・顎関節への影響治療による天然歯への影響上顎洞への入りこみ・化膿口内炎歯肉炎・歯周疾患感染症審美性への不満その他の身体状況その他1241205956473921181512111199866559866(n=409、重複あり)件数は本件のために特別に事例を精査した危害を生じたという相談における身体症状の内容050100150インプラント治療のための 骨増生テクニック米国歯周病専門医が教える インプラント基礎講座1歯欠損から始める 安心・安全なインプラント治療1090109 ─Vol.27, No.1, 2020P108-113_QDI01_Basic_yosino.indd 1092019/12/11 16:20Advance連載をはじめるにあたって この半世紀の中でもっとも目覚ましい発展を遂げてきた歯科学の分野は、インプラント治療だといえる。より安全で予知性の高い成功をもたらすことを目的として、さまざまな術式や材料が模索され、また考案と改良を重ねてきた。 特に骨再生誘導法(Guided Bone Regeneration:GBR)の進歩は、インプラント治療の適応症例を拡大させ、審美性の向上や長期的に高い予知性の獲得に貢献している。また、長期症例からは、骨量の不足部位に応用されたインプラントの脱落やインプラント周囲炎の発症が観察され、インプラント周囲の安定した骨の重要性が報告されている。 骨増生はその外科的侵襲の大きさから敬遠されがちであったが、近年多くの研究や経験の蓄積から、より安全で確実な方法、高い予知性、合併症の発生率の減少、経済的で低侵襲な手技の開発により、骨増生の適応症例は拡大している。単に埋入部位に骨量が不足している場合だけではなく、より高い審美性と機能性をインプラント治療に求める補綴主導の治療計画において積極的に骨増生が行われるようになってきた。 本連載では、インプラント埋入部位ごとに応じた補綴主導の考えに基づく骨増生について解説する。Advanceはじめに インプラント治療が抜歯から始まる場合、その抜歯の行い方、たとえば骨や粘膜などの周囲組織をいかに温存できるか、どれだけ速やかに治癒させられるかによって、その後のアプローチが大きく変わる。また、適正な診断のもと、抜歯即時埋入やリッジプリザベーションを行うことで、骨増生を回避できる場合もある。 よって、治療計画を考える際に、骨増生ありきで考えるのではなく、最小限の侵襲で最良な結果を得るために、まず丁寧な抜歯を行い、そして適正なタイミングで外科的介入を行うことが必要である。 そこで第1回では、骨増生について述べる前に、筆者が考第1回 抜歯と抜歯即時埋入およびリッジプリザベーション第2回 骨増生の機序と補綴主導型の治療計画に基づく骨増生プラン第3回 上顎臼歯部(上顎洞に関与しない)第4回 上顎臼歯部(サイナスフロアエレベーション)第5回 下顎臼歯部第6回 下顎前歯部第7回 上顎前歯部(単独歯欠損)第8回 上顎前歯部(複数歯におよぶ欠損)第9回 上顎前歯部(審美治療)第10回 上顎無歯顎(抜歯即時埋入での機能回復)第11回 上顎無歯顎第12回 下顎無歯顎本連載における今後の予定白鳥清人 Kiyoto Shiratori静岡県開業:医療法人社団 白鳥歯科日本口腔インプラント学会認定専門医インプラント治療のための 骨増生テクニック第1回骨増生を考えた抜歯と抜歯即時埋入およびリッジプリザベーション114Quintessence DENTAL Implantology─ 0114P114-123_QDI01_Advance_siratori.indd 1142019/12/11 12:46える「抜歯の方法」と「抜歯即時埋入」、そして「リッジプリザベーション」について解説したい。Advanceインプラント治療成功のための5つのキーポイント インプラント治療の成功には、図1に挙げる項目についてすべて適正で、調和していることが必要条件だと考えている。 特に歯槽骨が長期に安定することが、インプラント治療の成功に大きく関係する。適正なインプラント体を適正なインプラントポジションに設置した場合に、その周囲には十分な骨量と健全な骨組織が存在していなくてはならず、周囲粘膜やアバットメント、上部構造は、この骨を炎症・吸収させてはならない。このインプラント周囲骨をいかに獲得するかがインプラント治療の成功の鍵であり、そのために残存骨組織の温存と不足している骨組織の再生が重要となる。Advance骨増生を考えた抜歯抜歯窩の治癒 一般的に抜歯後の抜歯窩は、骨組織に修復される。その治癒過程は、止血期、炎症期、増殖期、リモデリング期を経て、およそ6週後にX線写真で骨形成が認められるようになり、軟組織の創傷部が閉鎖し、上皮化してくる1)。しかし、抜歯窩に骨が添加されるには4ヵ月ほど要し、その高径は隣在歯の骨レベルには達しないことが多い3、4)。 しかし、これは一般的な治癒経過であって、各患者の反応は年齢などによっても異なる。また、抜歯部位の骨や周囲軟組織の損傷の大きさ、炎症の波及範囲にも左右される。 抜歯後のインプラント治療は、これらのことを念頭に置いて治療計画を立てることが重要である。また、安易な抜歯操作によって治癒の遅延、あるいは良好な治癒が起こらないことも考えられる。丁寧な抜歯と不良肉芽の除去 丁寧な抜歯を行うには、まず抜歯時に周囲骨や周囲粘膜に可及的にダメージを与えないようにしなければならない。残根状態になっていて、ヘーベルや鉗子がかからない場合でも、フラップを開けたり、骨削除をしたりするのではなく、歯根を分割して抜歯を行うようにする(図2、3)。 次に、不良肉芽の除去と健全骨面を露出させることである。治癒の妨げになる感染物質や嚢胞、遊離セメント質を可及的に除去して、抜歯窩の新鮮骨面からの出血を促す。「抜歯後は徹底的に掻爬する」とよく言われるが、闇雲に掻爬しても抜歯窩はきれいにはならない。鋭匙で掻き出すように操作し図1 インプラント治療成功のための5つのキーポイント。1.インプラント体:適正なインプラント体の選択とインプラントポジション2.歯槽骨:インプラント周囲に安定した骨があること3.周囲粘膜:インプラントの補綴マージン部に健康な安定した粘膜があること4.アバットメント:周囲骨と周囲粘膜を炎症・吸収させないアバットメント5.上部構造:清掃性、機能性、審美性を兼ね備えた上部構造図2-a、b 抜歯はできるだけ周囲の骨組織や軟組織にダメージを残さないように行う。図3 残根状態で抜歯が困難な場合、粘膜切開や骨削除などは行わず歯根分割を行う。abインプラント治療のための 骨増生テクニック米国歯周病専門医が教える インプラント基礎講座1歯欠損から始める安心・安全なインプラント治療1150115 ─Vol.27, No.1, 2020P114-123_QDI01_Advance_siratori.indd 1152019/12/11 12:46Basicはじめに 今回から全6回にわたり、おもにインプラント治療をこれから始めようと思っていらっしゃる先生方を対象とした連載を始めることとなった。筆者は米国歯周病専門医であるため、記事の内容はおもに歯周/インプラント周囲組織のマネジメントや手術手技に焦点を置いたものになることをご容赦いただきたい。 本連載では、はじめにインプラント治療の成功の判断基準について述べ、次回以降から、治療計画の立て方、手術手技の基本、抜歯後のマネージメント、骨が足りない時の骨増生法(GBR)、そして最後にインプラントのメインテナンスおよびインプラント周囲炎に対するアプローチについて述べたい。6回をとおしてお読みいただくことで、インプラント治療の全体像を把握でき「インプラント治療を始めてみようか」と多くの読者の方に思っていただけたら幸いである。 さて、インプラントの埋入手技自体は、極端に言ってしまえば壁にドリルで穴を開けてネジを打ち込むのと同じ原理である。と書くと、読者の先生方は「そうは言ってもインプラント治療は難しい」と思われるだろう。インプラント治療の難しさは、そこに患者の要望、解剖学的な制限、生体の治癒、補綴装置との関係などが複雑に絡んでくる点に起因する。 そして、無事インプラントを埋入できたとしても何をもってインプラント治療が成功したと判断すればよいのだろうか? 手術が終わり補綴装置も装着された後、3ヵ月、6ヵ月、1年、5年、10年とフォローアップをする際にその基準がなければ判断は不可能である。 そこで第1回目は、インプラントの成功を判断するためにどのような基準が現在おもに使われているのかを中心に解説する。まず、その基準を理解するために欠かせない歯周組織とインプラント周囲組織との違いから始めよう。Basic歯周組織とインプラント周囲組織との違い(1)歯根膜 図1に歯周組織とインプラント周囲組織の比較を示す。ともに歯肉溝、上皮性付着、結合組織付着、そして骨のサポートが存在する。見た目は似ているが、両者のもっとも大きな違いはインプラント周囲に歯根膜が存在しないということで、そのためインプラントは直に骨に接して支えられている。 歯周組織では歯根膜線維が歯根周囲のセメント質に入り込むことによってシャーピー線維を形成し、それが歯を歯槽骨内に留める役割を担っている。その一方で、インプラント周囲にはセメント質/歯根膜がなく、結合組織線維がインプラント表面に対して垂直に入り込んでそれを支えているということがない。米国歯周病専門医が教える インプラント基礎講座1限目田中 毅 Tsuyoshi Tanaka米国ボード認定歯周病専門医フロリダ大学歯周病学講座 アシスタントプロフェッサー歯学部歯周病学プログラム ディレクター102Quintessence DENTAL Implantology─ 0102P102-107_QDI01_Basic_tanaka.indd 1022019/12/11 16:18(2)上皮付着 歯周/インプラント周囲組織ともに上皮組織は基底膜とヘミデスモゾームを介してエナメル、セメント質/インプラント表面に接している。インプラント周囲の上皮付着は歯周のそれよりも長い傾向にあることが動物とヒトの組織学データから確認されている。(3)結合組織付着インプラント周囲の結合組織付着は歯周のそれと似ているが、大きな違いはその走行である。歯周組織の場合は、コラーゲン線維がさまざまな方向から複雑に絡み合っていて、垂直にセメント質に入り込んでいる。その一方で、インプラント周囲のコラーゲン線維はおもに骨からくるものしかなく、それがインプラント体に並行に走行している。このコラーゲン線維の束は、腕周りの袖口のようにインプラント周囲を取り囲むように走行していて、これにより軟組織がインプラント周囲を塞ぐ役割を果たしている。ここが歯周組織との大きな違いで、機械的には歯周組織のコラーゲン線維のほうが強いと言える。 この差は患者の口腔清掃状態が良好で細菌の量が生体が対処できる範囲内にあれば、臨床的な違いとして現れない。ペリオプローブをポケットに入れると、炎症がない場合、ペリオプローブの先は歯周/インプラント周囲ともに上皮性付着の中にある。しかし一度炎症が起きると、上皮の付着が弱まりプローブの先がさらに奥の結合組織にまで到達してしまう。このポケットが深くなる度合いが、インプラント周囲組織の場合はたとえ軽いものであっても歯周組織よりも深くなる傾向にある1)。 細菌に対する防御力の違いは、歯周組織の場合、血液は歯根膜と歯槽骨の骨膜上の血管から豊富に供給され、インプラント周囲組織の場合、歯根膜がないため血液の供給源は歯槽骨の骨膜上の血管のみであることも関係している。血液の供給源が少ないためにいざ細菌の侵襲があった場合にインプラント周囲のほうがより防御力が弱いと推測される。(4)Supracrestaltissueattachment(STA)/生物学的幅径 1961年にGargiuloらが発表した献体を組織学的に計測したデータ2)によると、歯槽骨頂から歯肉溝底部までの歯肉の付着幅が、正常な歯周組織では歯槽骨頂から歯冠方向に約1.07mmの結合組織性付着、および約0.97mmの上皮性付着が存在するとしている。そしてこのおよそ2mmの幅を「Biological width」と称した。日本ではBiological widthをそのまま訳して生物学的幅径としていたが、2018年の歯周病新分類ではBiological widthではなく「Supracrestal tissue attachment(STA)」と称するようになった。インプラント周囲にもこのSTAが存在すると考えられていて、動物実験のデータでは、上皮付着が2mm、結合組織付着が1〜2mmとインプラント周囲のSTAは天然歯の周囲のものよりも若干長い傾向にあることが確認された。これはヒトの組織学的データでも似たような傾向にあることが確認されている3)。図1 歯周組織とインプラント周囲組織の比較(図は『こうすれば防げるインプラント周囲炎』[著=石川高行、山森翔太、クインテッセンス出版、2012]P.29より引用)。インプラント治療のための骨増生テクニック米国歯周病専門医が教えるインプラント基礎講座1歯欠損から始める安心・安全なインプラント治療結合組織骨歯肉溝上皮接合上皮インプラント体エナメル質歯肉溝歯肉溝上皮接合上皮結合組織セメント質骨歯周組織インプラント周囲組織約0.97mm接合上皮約2mm約1.07mm結合組織1〜2mm約2mm生物学的幅径2〜3mm歯根膜、歯槽骨の骨膜からの血管血液の供給源歯槽骨の骨膜からの血管のみあり歯根膜なし歯根膜1030103 ─Vol.27, No.1, 2020P102-107_QDI01_Basic_tanaka.indd 1032019/12/11 16:19ビギナーもベテランも納得のラインナップ。これからインプラント治療を始めたい、もう一度学びなおしたいビギナー向けとしてBasic連載、より高度な技術について学びたいベテラン向けとしてAdvance連載をご用意。米国歯周病専門医が教えるインプラント基礎講座田中 毅インプラント治療をこれから始めたい、もう一度挑戦したいと考える先生方を対象に、インプラント治療の基礎知識から治療計画、手術手技、メインテナンスまで毎号ていねいに解説。Basic全6 回インプラント治療のための骨増生テクニック白鳥清人骨増生は審美性・予知性獲得のためインプラント治療のさまざまな場面で求められる。本連載では、埋入部位とシチュエーションに応じた補綴主導の考えに基づく骨増生について解説する。Advance全12 回1歯欠損から始める安心・安全なインプラント治療吉野 晃最初の一歩となる1歯欠損症例をもとに、安心・安全なインプラント治療のためのポイントを臨床の流れに沿って学ぶことができる。Basic全6 回Quintessence DENTAL Implantology 2020 ダイジェスト見本誌6

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