QDT ダイジェスト見本誌2020
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3QDT 2020 ダイジェスト見本誌38Feature article #1②【シェードテイキング】臨床例:1Ⅳ級窩洞のCR修復治療(続き)図11 偏光フィルターも使用し、シェード写真撮影を行った。図12 次回来院時。ラバーダム防湿を行い仮充填を除去、ベベルの付与を行った。図13 シリコーンコアを使用して舌側壁を築盛・硬化後、隣接面にマトリックスとウェッジを挿入した。図14 充填終了後、研磨を行った。図15 術後1週間経過時。残存歯質との色調、形態の調和も得られた。図16 口唇と歯の関係も良好であった。③【ベベルデザイン】臨床例:67Ⅰ級窩洞のCR修復治療図17 術前。下顎左側大臼歯のⅠ級修復治療を行う予定。図18 旧修復物およびう蝕の除去後。咬合面Ⅰ級窩洞のエナメル質にはストレートタイプのダイヤモンドバーを使用しベベル付与を行った。図19 頬側面のベベル付与にはアメリカンフットボールタイプ(楕円形)のダイヤモンドバーを使用した。11121314QDT Vol.45/2020 January page 0038p032-048_QDT01_toku1.indd 382019/12/10 9:2539補綴専門誌であえて考える 今求められるMIとCR直接修復(前編)図20 ベベル付与後。図21 接着処理後、CR充填を行った。図22 術後1週間経過時。図23 Ⅱ級窩洞のCR直接修復治療における、隣接歯頚側のベベルの付与例。咬合面Ⅰ級窩洞と同様に、ラウンドエンドのテーパータイプのダイヤモンドバーを使用し、スムーズなフィニッシュラインとなるよう調整を行う。④【充填操作】大臼歯Ⅰ級窩洞充填のポイント・模式図図24 第一大臼歯Ⅰ級窩洞矢状面断の模式図。図25 それぞれの咬頭ごとに隆線を築盛していくと、凸面が強くなる傾向がある。また途中で1つの隆線の形態や走行を間違えて充填・硬化すると、後で修正が効かない。図26 隆線の凸面が強く水平的な位置もずれてくると、結果的に咬合調整が多くなってしまう。図27 Ⅰ級窩洞のバルクフィルテクニックの模式図。デンティン層の充填後、エナメル色CRを一塊に充填。図28 窩洞全体をならした後、スパチュラタイプのインスツルメントでシャープな咬頭傾斜角を与え、咬合面の分割、割振りも行う。図29 エンドファイルで小窩裂溝を付与すると、わずかに小窩裂溝付近に凸面が生じる。必要であれば咬合接触部分や副隆線にエナメル色CRをごく少量添加する。2021QDT Vol.45/2020 January page 0039p032-048_QDT01_toku1.indd 392019/12/10 9:2536Feature article #1図1 CR充填用インスツルメント(LM Arte、白水貿易)。図2 CR充填用インスツルメント(13Ti、14Ti、Helmut Zepf,フォレスト・ワン)。図3 CR充填用インスツルメント(デントクラフト TSURUGI、ヨシダ)。CR直接修復治療にあたって筆者が用意しているもの長時間になってしまうなどの欠点もある。3)ダイレクトベニア 前歯部の唇側面全体をカバーする修復治療として、CRを使用したダイレクトベニアがある。これは歯質の切削なしに行う場合と、PLVのように支台歯形成を行う場合がある。歯質の切削を行わない場合として、CRの添加により唇側の形態を修正する場合や、側切歯に認められることの多い矮小歯の形態修正が挙げられる。一方、歯質の切削を行う場合として、変色をカバーする場合、捻転歯を理想的な形態に修正する場合が挙げられる。4)犬歯尖頭・下顎前歯切縁のビルドアップ 前歯部、とくに犬歯尖頭が摩耗している状態で臼歯部の補綴・修復治療を行う必要がある場合、滑走・咀嚼運動時に臼歯部のディスクルージョンを確立するため、犬歯尖頭にCRを添加することがある。また咬合再構成で咬合挙上が必要になる場合、下顎前歯切縁にCRを添加し、上顎前歯部舌側とアンテリアカップリングをさせることがある。これらのCR修復治療は可逆的であり、歯質の切削がまったく必要でない場合が多く、摩耗や脱離しても容易に再添加することが可能である。5)その他(根管治療・根管漂白後の充填、インプラント補綴装置のアクセスホールの充填など) 前歯部の根管治療のアクセスキャビティは通常歯質の温存を図るため、大きなう蝕などがない場合舌側から形成する場合が多く、根管治療後はCRを使用して修復することが多い。また失活歯の根管漂白後、明度をさらに上げたい場合は舌側にデンティンシェードのホワイト色を充填し、透過性のコントロールを行う。インプラント補綴装置のアクセスホールを長期的に封鎖する場合、テフロンテープを先に填入し、接着処理なしでCRを使用する場合が多い。 本項ではまず、筆者が臨床においてCR直接修復治療に使用している資器材を紹介する(図1~18)。なお、ラバーダム、ラバーダムクランプ、歯面清掃器およびエアアブレージョン歯面清掃切削器の紹介は、本誌2019年8、9月号の筆者による連載論文を参照されたい。CR直接修復治療にあたって筆者が用意しているものQDT Vol.45/2020 February page 0178p034-052_QDT02_toku1.indd 362020/01/09 12:0037補綴専門誌であえて考える 今求められるMIとCR直接修復(後編)図4 ベベル付与に使用するダイヤモンドバー(松風ダイヤモンドポイントFG スーパーファイン SF102RD、SF145、松風)。図5 モデリングレジン(Kerr)。筆にごく少量含ませて使用。図6 充填用平筆(ユニブラシNo.1、松風)。図7 臼歯隣接面の充填に使用する透明マトリックス(セクショナルトランスペアレントマトリックス、Kerr)。図8 前歯隣接面の充填に使用するメタルマトリックス(セクショナルマトリックスS・L、トクヤマデンタル)。図9 前歯隣接面の充填に使用するマトリックス(コンポジットレジン仕上げ研磨ストリップス エピテックス、ジーシー)。図10 ウッドウェッジ(インターデンタルウェッジ、Kerr)。前歯隣接面の充填でマトリックスを保持するときに、削合して使用。図11 臼歯隣接面の充填に使用するウェッジ、コンタクトリング(V4、デンツプライシロナ)。図12 臼歯隣接面の充填に使用するコンタクトリング(コンポジタイト3Dリテーナー、ギャリソン・モリタ)。図13 前歯部の表面性状付与に使用するダイヤモンドバー(コメットダイヤモンドバーFGファイン 8862-012、Komet、モモセ歯科商会)。図14 隣接面のステップ除去用メタルストリップス(ニューメタルストリップNO.200、ジーシー)。1314QDT Vol.45/2020 February page 0179p034-052_QDT02_toku1.indd 372020/01/09 12:00臼歯部の各種窩洞に対するCR直接修復の技法がステップでわかる!続く2月号では、詳しい材料紹介&前歯部の審美修復が満載!33補綴専門誌であえて考える 今求められるMIとCR直接修復(前編) 日本の保険診療では金属による補綴・修復治療が昔からの主流である。とくに臼歯部に隣接面う蝕が存在する場合、メタルインレーとすることが多い。メタルインレーは歯質との接着が難しいため、マイクロリーケージが生じたり、咬合力による歯質のクラックが生じたりすることで、それらが二次う蝕などの原因になるといわれている。また、世界的にも患者の審美性および長期予後に対する要求が強くなり、海外では金属による間接修復法が選択される機会が減少しており、メタルフリーの歯科治療が広く普及している。海外では臼歯のⅠ級・Ⅱ級窩洞はアマルガム充填、CR充填もしくはセラミックを用いた間接修復治療が行われることが多い。海外では多くの補綴・修復治療が保険適用外となっている。そしてセラミック間接修復治療よりも治療費用が低いCR充填が選択される場合が多い 一般的に間接修復治療では、隣接面を含め補綴修復物のマージンを正確かつ確実に適合させることができ、対合歯との咬合接触関係も精密に再現することができる。またプロビジョナルレストレーションを使用することで、最終補綴装置に与えるべき適正な歯冠形態も確認することが可能である。最終的に口腔内に装着される補綴・修復装置は、支台歯形成やプロビジョナルレストレーション、印象採得、咬合調整、セメンとされる。 近年、日本でもインターネットなどの普及により、患者もMI修復治療について詳しく知っている場合が多く、患者自身が「歯をできるだけ削りたくない」という要望を強くもつ場合が多くなってきたと感じている。当院でCR修復治療を希望される患者は、今までに受けた修復治療に起因する二次う蝕や変色、破折などの問題を抱えている場合が多く、再度の侵襲が少ない治療を希望されることが多い。また、CAD/CAMによる非常に安価なジルコニア製のインレー、アンレー、オーバーレイなどの修復治療を受けた患者も多く見受けられるようになった。これらは形成量も必然的に多くなってしまうため、MIまた接着の観点からも、CR修復治療が適応となる場合も多いと思われる。テーションなどさまざまなステップで歯科医師の技術力が要求される上に、歯科技工士の技量に左右されることが多い。そして、さまざまなステップが存在するために、最終的な補綴・修復装置までに長期間を要する場合がある。さらに印象材の変形や石膏の膨張により実際の口腔内とは少なからずとも誤差を生じるため、補綴・修復装置の適合不良につながる可能性がある。今、なぜMIとCR直接修復を重視するのかコンベンショナルな補綴・修復治療と、CR直接修復治療の違いとは切削量を減らすことが可能である。材料の接着性や物性の向上もあり、臼歯の咬合力のかかる部位やⅡ級窩洞にも対応できるようになってきた。さらに色調再現性や色調安定性も以前よりはるかに改善されてきている。 そこで本特集では、さまざまな過程を経て進化してきたCR修復治療について、最近の傾向も含めて解説させていただきたい。QDT Vol.45/2020 January page 0033 2020年1&2月号で!この続きはQDT 写真をふんだんに用いた誌面で気鋭臨床家のテクニックを誌上体験!

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