ザ・クインテッセンス ダイジェスト見本誌2024
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a図5a,b 患者は,48歳の女性.他院にて上顎2~2部にインプラントを埋入したが,数か月でロストしてしまったとのこと.患者は再度の外科処置やインプラント治療に大きな拒否反応を示しており,他の治療法を希望して自院に来院した.そのため,上顎両側犬歯を支台とした,4歯欠損6ユニットのロングスパンブリッジにて補綴を行うことになった.強度にもっともすぐれる第一世代ジルコニアをフレームに選択し,顎堤の大きな吸収に対しては,歯肉色ポーセレンを使用することとした.bは,プロビジョナルレストレーション装着時で,歯肉相当部にはピンク色の即時重合レジン使用している.c図5c~e 完成した歯肉色ポーセレン付きのブリッジ.1特 集a図1a~c 術前.患者は54歳の男性,自営業者.全顎的な知覚過敏の改善を主訴に来院した.前歯唇側面にはコンポジットレジンが充填されていたが,形態および適合不良が認められる.また,一部に二次う蝕も認める.さらに患者は逆流性食道炎の疾患があり,これに起因すると思われる酸蝕を全顎的に認め,象牙質の露出が確認できた.そのため,部分修復ではなく,全部被覆冠による全顎的な補綴処置を行うことにした.患者はブリーチングシェードを希望し,また全顎的な処置となるため残存歯との色の調和が必要ないこと,さらに歯質削除による根管治療の可及的回避や,少ない補綴スペースで十分な強度が得られることもあり,第三世代ジルコニアによるモノリシッククラウンレストレーションを選択した.1特 集i図9i,j 補綴装置装着時.クラウン修復において,色の調和が難しいとされるPLVとのコンビネーション症例であるが,本法により印象採得後1回の施術で治療を終えることができた.the Quintessence. Vol.39 No.9/2020—2094the Quintessence. Vol.39 No.9/2020—20954338the Quintessence. Vol.39 No.9/2020—2090the Quintessence. Vol.39 No.9/2020—20913942図9h 接着前処理を行った後,接着性レジン装着材料を用いてPLVを装着.図9c図9d図9e図9f図8e フレーム上に陶材築盛を行い,補綴装置が完成,装着した.両側中切歯のフレームに第二世代ジルコニアを使用し,支台歯の象牙質の色を拾うことで,少ない形成量でも色を調和させることができた.図9c~f 本症例のように,クラウンとPLVが隣り合う症例では,通常,細かな色調コントロールが難しいPLVを最初に装着し,その後それに合わせてクラウンを製作する.本症例では,治療期間の短縮を目的に,PLVとクラウンを同時製作し,同日に装着することとした.そのため,₁には,₁のPLVの支台歯形成後の支台歯形態を模倣したジルコニアコーピング(第二世代ジルコニア)を製作し,同じ厚みのPLVをそれぞれ製作した.図8f図8g図8f 犬歯および臼歯部ブリッジには,より堅牢な第一世代ジルコニアを使用した.図8g 術後の臼歯部術部咬合面.図9g 口腔内で,₁に₁のPLVの支台歯形成後の支台歯を模倣したジルコニアコーピングを装着.この時点で両者の支台歯の色が同じであれば,歯科技工士はその陶材築盛において,より容易に両歯冠色の調和を達成できる.図9b 両側の旧補綴装置を除去後,支台歯形成および精密印象採得を行った.症例2第一世代ジルコニア使用した6ユニットブリッジ症例fg図5f,g 完成した歯肉色ポーセレン付きのブリッジを口腔内に装着.症例3第一世代ジルコニアをフレームに使用した接着ブリッジ症例図6a 患者は36歳,男性.₁の痛みを主訴に来院.₁に歯根の外部吸収および大きな歯槽骨吸収を認め,保存不可能な状態であった.₁の両隣在歯はともに生活歯であったものの,₂唇側にはう蝕を認めた.患者は欠損となる₁に対するインプラント治療には消極的で,また健全歯質の切削にも抵抗を示した.そこで,第一世代ジルコニアをフレーム(リテーナー,コネクターおよびポンティック部)に用いた低侵襲かつ審美的な接着ブリッジの補綴治療を行うこととした.図6b 骨吸収が大きかったため,抜歯時にGBRを行った.抜歯した₁は歯根部を切断しコンポジットレジンにて基底面を調整し,ポンティックとして使用した.図6c 抜歯後4か月.図6d 支台歯形成時.エナメル質内で歯肉縁上にシャンファー形態で形成を行い,シーティングを目的に歯冠中央部に浅いホール形成を行った.図6e図6f図6e,f 第一世代ジルコニアを用いたフレームと陶材築盛後の接着ブリッジ.ジルコニアの接着前処理は,試適後にアルミナサンドブラストを行い,疎水性リン酸エステル系モノマー(MDP)を塗布した5.図6g 術後.第一世代ジルコニアをフレームに使用することで,審美的かつ堅牢な補綴装置を製作,装着することができた.症例5PLV修復および第二世代ジルコニアフレームを用いPLVとの色調的調和を目指したクラウン修復の両側中切歯1回法症例図9a 術前.患者は43歳の女性,主婦.₁のPLV,₁のオールセラミッククラウンの色調改善を希望し来院.これらはともに筆者が12年前に補綴したもので,これまで問題なく使用されていたが,数か月前からホワイトニング治療を開始したところ,色の不調和が気になり始めたとのこと.患者は,ホワイトニング後の歯冠色での再修復を望まれた.図1d,e 上下顎の全顎的な支台歯形成時.図1f,g モノリシックジルコニアクラウン装着時.本症例の患者のように,補綴装置に天然歯様の自然感を求めない場合は,前歯部にもフルジルコニアクラウンを選択することができる.the Quintessence 2024 ダイジェスト見本誌bcdfegbdej9臨床上の注意点も,症例をとおして解説!ジルコニアを3つの世代に大別し,それらの利点・欠点,臨床上の適応について掲載症例 第三世代ジルコニアを使用して咬合再構成を行った症例この論文を無料で全文読む!

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