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2021年3月21日

日本歯科医学振興機構、臨床歯科麻酔管理指導医/臨床歯科麻酔認定歯科衛生士認定講習を開催

歯科麻酔を含む歯科医師・歯科衛生士の業務範囲について理解を深める機会に

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 さる3月21日(日)、ビジョンセンター田町(東京都)において、(一社)日本歯科医学振興機構(坂元彦太郎代表理事)が臨床歯科麻酔管理指導医/臨床歯科麻酔認定歯科衛生士認定講習を開催し、約100名が参集した。

 本機構は歯科医師・歯科衛生士の知識と技術の拡大を目指すべく、歯科医療の法的解釈を精査し、歯科医師・歯科衛生士に認められた業務範囲を明らかにするとともに、確かな技術の習得を支援することを目的に2020年2月に設立された団体である。その活動の一環として、同年11月に歯科麻酔に関する認定講習を熊本で開催したのを皮切りに、今回を含めて日本全国で定期的に開催し続けている。

 はじめに、歯科医師・歯科衛生士の業務を正しく理解するための大前提として、本機構がもっとも重視している「歯科関連法令」について、坂元氏(熊本県開業)によって講義が行われた。氏は、歯科医師法や歯科衛生士法、さらには保健師助産師看護師法、日本歯科医師会や厚労省による資料などを1つひとつ紐解き、歯科医業、歯科診療の補助、絶対的歯科医行為、相対的歯科医行為の定義・根拠について明示した。そのうえで、「歯科衛生士が麻酔行為を業として行うことはできないが、歯科診療の補助の範囲内でそれを行うことは問題がない」とした一方、実際に行うには相応の能力が不可欠であること、歯科医師が適切に指示する必要があることを強調した。また、歯科関連法令が過去にどのような経緯で生まれて解釈されてきたか、その歴史についても振り返った。

 歯科医師・歯科衛生士の業務範囲について参加者があらためて理解を深めたことをふまえて、続いて「歯科麻酔学」の講義・実習が行われた。講義では、まず局所麻酔について歯科医療者がおさえておくべき知識として、局所麻酔の効果と作用機序、解剖学的知識、薬剤の種類、実際の手技などについて解説された。また、局所麻酔を行ううえで患者管理に関する知識も必須ということで、バイタルサインの読み取り方や医療面接の進め方、全身的偶発症に関する知識と対応、心肺蘇生法についても詳説された。

 実習では、浸潤麻酔法・心肺蘇生法・全身的偶発症への対応(窒息への対応・酸素吸入・エピペンの使用)の3つについて、グループ分けされた参加者が実際に取り組んだ。講義を聴くだけでは知り得なかった経験が得られたとともに、学びを深めれば深めるほど、歯科麻酔を行うには相応の能力が求められることが実感できたようであった。

 最後に、認定試験が実施されて閉会となった。なお、本機構が発行する「臨床歯科麻酔認定歯科衛生士」の認定証は、講習を受講し認定試験に合格したことを証明するものであり、麻酔の許可を与えるものではないため、注意されたい。

 「権利と責任は表裏一体である」という坂元氏の言葉にもあるように、みずからの業務内容や業務範囲について認識することは、専門職として患者に良質な医療を提供し、専門性を高めていくうえでけっして欠かすことはできない。業界内でも注目を集める本機構の活動に、今後も目が離せない。