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2022年9月11日

大阪大学歯学部同窓会、第555回臨床談話会を開催

樋口均也氏が不定愁訴をテーマに講演

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 さる9月11日(日)、大阪大学歯学部同窓会(谷口 学会長)による第555回臨床談話会が、大阪大学歯学部記念会館(大阪府)およびWeb配信にて開催された。今回は講師に樋口均也氏(大阪府開業)を迎え、「不定愁訴と思われる症例への対応」をテーマに講演が行われた。

 症状はあるが明確な原因が見つからず、対応が非常に難しい不定愁訴。この不定愁訴を診断して治療につなげていくには、「どのような疾患の候補がありうるのか」「その疾患の症状とは何か」「その検査のやり方とは何か」を知らなければならない。近道は、担当した患者の事例に基づき地道に知識を深めていくことだが、それを自身で行うのは困難。そのため、長年、不定愁訴の患者に対応してきた氏の症例を模擬体験してもらおうというのが本講演の主眼であった。

 その言葉どおり、氏が講演のために制作・配布した資料には、数十人の患者の主訴、症状、行った検査、さまざまな可能性を考慮して下した診断とその根拠、治療、その後の経過が克明にまとめられていた。

 おもな主訴を挙げれば、全身が痛み微細動する、舌が暴れている、口が開きにくい、食いしばりが治らない、砂糖・塩の味がわからない、何を食べてもからい、舌がしびれる、顔面と舌がピリピリと痛む、声が出にくい、ろれつが回らない、インプラントを除去したあとがジーンと痛い、口臭が気になるなどで、おもな対応には、抗うつ薬を含めた投薬、漢方処方、口腔アレルギーへの対応、心理療法、提携している他の専門機関への紹介などが含まれていた。

 なかには症状が心因的なもののため、生活の変化により、患者さんのほうで不安が取り除かれて快方に至った――つまり歯科治療が症状改善に直接寄与しなかった例もあったが、そういったケースでも、相談を受けた歯科が患者さんを突き放さず、長期間見守っていたことがそれ以上の悪化を防ぐ役に立った可能性があると述べた。

 症例供覧の後には、不定愁訴の患者に対して氏がよく用いている検査や処方薬のほか、「診療に時間がかかるのでは?」「他の診療に差し支えるのでは?」「採算はとれるのか?」といった経営面のクエスチョンへの回答も行われた。