Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2017年3月26日

THE W DENTAL NETWORK第3回セミナー開催

エンドと補綴の関係性をテーマに日米のスペシャリストが登壇

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる3月26日(日)、アキバホール(東京)において、THE W DENTAL NETWORK第3回セミナー「The Endo-Restorative Connection~アップデート 根管治療・支台築造・歯冠修復~」が開催された。

 THE W DENTAL NETWORKとは、石部元朗氏(山梨県開業)が立ち上げたセミナーで、Logical、Global、Uniqueのコンセプトで、国内外の専門治療やチーム医療の実際をインタラクティブな講義スタイルで紹介することを目標に立ち上げた。今回は、「The Endo-Restorative Connection~アップデート 根管治療・支台築造・歯冠修復~」をテーマに開催された。

 午前中はまず、石部氏が「イントロダクション&論文レビュー」と題して、とくに支台築造に関する主要な論文をレビューした。引き続き、佐藤暢也氏(秋田県開業)が、「ポストコア・レストレーションに関連した正・逆・根管治療」と題して講演。支台築造前の通法の根管治療、支台築造がなされた歯の再根管治療、補綴治療歯の逆根管治療、逆根管治療後の支台築造の4つのパートに分け、それぞれの文献をひも解きながら臨床例で解説した。

 午後は、澤田則宏氏(東京都開業)が、「最先端根管治療」と題して講演。澤田氏はまず、根管治療の成功率と、インプラント治療の生存率に関する双方の文献を提示。そのうえで、歯内療法の観点から、歯を残すべきか、抜歯すべきかの理知的な考え方を示し、参加者にその再考を促した。また、術後の長期安定のためには、根管治療と歯冠修復の両方が等しく重要になることを文献で示し、補綴医との連携の重要性を示唆した。さらに、近年話題のNi-Tiファイルの使い方やステンレスファイルの使い分けや、進化を続ける歯内療法材料の紹介、歯内療法そのものの将来展望等を語った。

 その後、後藤吉啓氏(米国・カリフォルニア州開業)が「根管治療歯の修復治療:アメリカでのコンセプトと臨床」と題して講演。後藤氏はまず支台築造材料に関して「近年、自身の臨床においてファイバーポストを使用することはない」という言葉からプレゼンテーションをスタートさせた。そして、根管治療歯で生じうる歯の破折や修復物の脱離、あるいは根尖病変の発生の原因は、多くの場合、歯冠側の漏洩(leakage)にあることを文献で示したうえで、その漏洩を防ぐにはポスト材料により硬い材料を用いてかつ接着性レジンセメントを用いて接着することが効果的であるという、後藤氏自身の最新の研究結果を示した。さらに、支台築造においてもっとも重要なのはフェルールの確保であるが、接着材料の進化によって、フェルール効果を得るための臨床コンセプトには変化がみられていることを近年の論文や自身の臨床で解説した。

 その後は、石部氏を司会に演者全員によるディスカッションが行われた。いずれの演者も会場から寄せられた質問に文献と臨床の双方の観点を踏まえてバランスよく応答し、本会全体の構成とともに、参加者から満足の声が多く聞かれる盛会となった。

 なお、後藤氏の講演内容は、「ザ・クインテッセンス」2017年6月号において、特集記事として詳説される予定。