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2017年7月29日

第30回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会/第22回日本口腔顔面痛学会学術大会開催

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 さる7月29日(土)、30日(日)の両日、ワークピア横浜(神奈川県)において、第30回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会(小林 馨大会長、古谷野 潔理事長)および第22回一般社団法人日本口腔顔面痛学会学術大会(佐々木啓一大会長/理事長)が「西洋歯科医学発祥の地・横浜から~みんなの幸せ 健康な あご を求めて~」をメインテーマに合同開催された。

 1日目の午前は、両学会の合同シンポジウムとして「運動器疼痛の治療法としての運動療法」が行われ、高野直久氏(日本歯科医師会)が「イントロダクション:オーラルフレイルにおける運動器疼痛治療の意義」と題して講演。顎口腔の疼痛があって咀嚼がスムーズに行えないことは、オーラルフレイルを呈する一因になるとし、その治療の意義を解説した。そのうえで、矢吹省司氏(福島県立医科大医学部整形外科学講座・疼痛医学講座)が「基調講演:運動器疼痛の治療法としての運動療法」と題して講演。運動器疼痛にはさまざまな治療法があるが、運動療法をその中心に据えて集学的に行うべきとした。

 午後は日本口腔顔面痛学会のシンポジウム「神経障害性疼痛の臨床」が行われ、口腔顔面領域の神経障害性疼痛のなかでもとくに三叉神経痛にフォーカスをあて、その発症メカニズムを篠田雅路氏(日大歯学部生理学講座)が、診断を今村佳樹氏(日大歯学部口腔診断学講座)が解説した。その中で今村氏は、三叉神経痛の臨床診断はあくまでも症状から行うべきこと、除外診断にMRIが必須であること、カルバマゼピンが治療的診断に有用であること、さらにトリガーゾーンの部位の局所麻酔は痛み発作を抑えうるが、他の原因を鑑別するうえでは注意を要することなどをその要点として挙げた。最後に佐久間泰司氏(大歯大附属病院ペインクリニック)が神経障害性疼痛の治療について解説。とくに、薬物内服療法を用いる場合は副作用に十分に注意し、そのためには製薬会社が配布している添付文書を熟読すべきことや、心電図異常の出る薬剤を使用する際は心電図に対する知識を有しておくべきことなど、その注意点を解説した。

 その後、「日本顎関節学会30周年記念シンポジウム」が以下の演題、演者によって行われ、それぞれの演者が顎関節治療各領域の歴史や自身のこれまでの取り組みを語った。
1.日本顎関節学会の30年を振り返って(古谷野 潔氏、九大)
2.顎関節研究会発足と顎関節症症型分類の成立(田口 望氏、愛知県開業)
3.顎関節症の基礎と臨床の時代―外科的治療を中心に(柴田考典氏、元北海道医療大)
4.関節円板整位療法(矢谷博文氏、阪大)
5.パンピング・マニピュレーションの開発と関節鏡の普及(村上賢一郎氏、赤穂市民病院)
6.顎関節加増検査法の進歩と普及(小林 馨氏、鶴見大)
7.顎関節症の自然経過への取り組み(栗田賢一氏、愛院大)
8.日本顎関節学会法人化への歩み(覚道健治氏、大歯大)

 2日目は、日本顎関節学会のメインシンポジウム「特発性下顎頭吸収を含む開咬の診断」、シンポジウム「顎関節手術セミナーとエキスパートセミナー」やイブニングセミナー「顎関節症と関連する頭痛の診断と管理」などが行われたほか、2日間を通じて教育講演、一般口演、ポスター発表など多彩な演目が組まれ、会場はおおいに賑わった。

 なお、来年は「痛みを究める~侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・心因性疼痛」のテーマにより、日本顎関節学会、日本口腔顔面痛学会、日本歯科心身医学会の3学会合同で、北九州国際会議場および西日本総合展示場新館AIMにて開催予定。