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2017年10月1日

日本小児歯科学会 関東地方会第32回大会・総会開催

「子どもたちの輝く明日のために」をテーマに

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 さる10月1日(日)、松戸市民会館(千葉県)において、日本小児歯科学会 関東地方会第32回大会・総会(谷 博司大会長、田中英一会長)が「子どもたちの輝く明日のために」をテーマに開催され、歯科医師、歯科衛生士ら788名が参集した。

 基調講演では、清水武彦氏(日大松戸歯学部教授)が「口腔疾患の発症リスクを遺伝から考える」の題で登壇し、疾患感受性遺伝子の特定や遺伝子検査による疾病リスク予測について講演した。氏は、一般向けの疾病リスク検査に応用されているように、医科の分野では数多くの疾患において疾患と遺伝要因の関連が明らかになっていることを指摘。一方、歯科疾患における研究は極めて遅れているとしながらも、下顎前突や歯の先天性欠如、正中過剰歯、う蝕について、現在わかっている範囲の研究結果について解説した。
 
 特別講演では、佐藤好範氏(千葉県小児科医会会長、医療法人健育会さとう小児科医院理事長・医師)が「小児アレルギー疾患のトピックス(食物アレルギーを中心に)~昔の常識は今の非常識?~」の題で講演。まず、20世紀初頭には日本人口の1%に過ぎなかったアレルギーが21世紀に入り30%、小児に至っては40%までに増加している現状を提示。その理由として、人々の生活が衛生的になってエンドトキシンへの暴露が減り、免疫機能を担うT細胞のバランスが崩れるためとする「衛生仮説」と、昨今注目を浴びてきている、出生や幼少期に「旧友」である常在菌に接する機会が減少し正しい免疫形成がされないためとする「旧友仮説」を紹介した。また、食物の摂取でアレルギーを発症しなくとも皮膚を経由して発症する経皮感作、食後の運動により腸からの吸収が亢進することで起こる食物依存性運動誘発アナフィラキシー、歯科領域にも関係する口腔アレルギー症候群などについて、時間のゆるすかぎり解説した。
 
 歯科衛生士セミナーは、「歯科衛生士のための小児の救急処置と歯科医療管理」および「小児の救急蘇生実習」が企画され、前半は山口秀紀氏(日大松戸歯学部准教授)による講演、後半は希望者による実習が行われた。参加者は熱心にメモを取り、実習に臨んでいた。

 このほか、教育講演、若き研究者の集い、ポスター発表、企業展示などが行われ、終始にぎわいを見せていた。

 次回の第33回大会は北日本地方会との合同開催で、きたる2018年10月6日(土)、7日(日)の両日、宇都宮市文化会館(栃木県)において、福本 敏大会長(東北大大学院)のもと開催予定。