2022年8月8日掲載

福場駿介氏、斎田寛之氏が「エンド-ペリオの治療戦略」のテーマでWeb講演

クインテッセンス出版株式会社、第27回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第27回WEBINARを開催
 さる8月8日(月)、福場駿介氏(医歯大歯周病学分野特任助教)、斎田寛之氏(埼玉県開業)によるWEBINAR #27「エンド-ペリオの治療戦略」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは「ザ・クインテッセンス」2022年7月号に掲載された連載MY FIRST STAGEの内容をベースに行われた。

 まず、福場氏はエンド-ペリオ病変の臨床所見とエンド由来、ペリオ由来、エンドとペリオの複合病変(エンド-ペリオ病変)に分類した「Simonの分類」について言及。エンド-ペリオ病変は、外傷や医原性要因の場合、痛みをともなう膿瘍が生じるケースが多いことにふれたうえで、「Simonの分類」はあくまで病態を理解するための指標であり、感染源の特定は治療方針を決定する要因にはならないことから、確定診断後に適切な処置(歯内療法・歯周治療)を行うことの大切さを説いた。続いて、エンド-ペリオ病変におけるいわゆるホープレス歯を抱えた症例を供覧しながら、保存することが困難な症例が多いことについて、「歯の保存の意義を吟味したうえで抜歯・保存の方針を定めることが重要である」と強調した。

 次に、斎田氏はエンド-ペリオ病変の鑑別診断と処置の方針についてチャートを示しながら解説。まずは、エンドファーストの治療を行ったものの治癒に至らず、エンド-ペリオ病変が疑われるケースについて、1)プロービングの深さ、2)急性炎症の有無、3)歯髄状態――以上の3つの鑑定ポイントをもとに原因を特定することの大切さを述べた。その後は、根尖を超える骨欠損を抱える重度歯周病変において、エムドゲインを用いた意図的再植についての症例を供覧した。斎田氏は、エムドゲインを用いた意図的再植のほとんどがフラップを形成して骨補填を行う症例(flap elevation・bone graft)であると述べたが、重度の骨欠損に加え、縫合が困難との見解からフラップを形成する処置に対して問題を提起した。そこで、フラップを形成しない症例(flapless・no graft)を紹介。意図的再植のために抜歯した歯を洗浄して根尖を封鎖したのちPref®Gelとエムドゲインを塗布して再植後、再植した歯と隣在歯をスーパーボンドで連結した手順をわかりやすく示しながら、ポイントとして根面の完璧な郭清と固定および適応症の選択を挙げた。

 講演後の質疑応答では、事前に寄せられたものも含め多数の質問が寄せられ、両氏は終了時間を超過してもなおていねいに回答。「エンド-ペリオ病変と破折との判断基準について」の質問には、斎田氏が解説し、「急性炎症時にはエンド由来かペリオ由来か診断するのは難しい。慢性化を待ち、歯周ポケットの位置やサイナストラクトなどの所見を判断基準としてほしい」と述べた。

 なお、次回のWEBINAR#28は、きたる9月1日(木)、宮地 舞氏(東京都勤務)を招聘し、「歯科で気づく! 治す! 睡眠時無呼吸」をテーマに開催予定である。申し込みはこちらから。

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