2022年9月22日掲載

関野 愉氏が「エビデンス・アカデミア~メインテナンスの重要性&口腔×全身疾患の関係の伝えかた~」をテーマにWeb講演

クインテッセンス出版株式会社、第29回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第29回WEBINARを開催
 さる9月22日(木)、関野 愉氏(日歯大生命歯学部歯周病学講座准教授)によるWEBINAR #29「エビデンス・アカデミア~メインテナンスの重要性&口腔×全身疾患の関係の伝えかた~」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは『ドクター関野のエビデンス・アカデミア』の内容をベースに行われた。

 同書では、過去の著名論文から現在の最新論文のうち、日常臨床に活用できるデータが提示されたものを氏が吟味して解説を加えている。しかし、書籍で取り上げている論文をWebセミナーで解説するのは内容の重複となるため、今回はおもに「メインテナンス」をテーマに、さらに過去の著名論文や、書籍刊行後に出された論文をピックアップして解説が行われた。

 基本となる「歯周治療後のメインテナンスの効果」については、Roslingら(1975年)の論文を取り上げ、2週間に1度のメインテナンスの有効性を示した。そして、その後Axelssonら(1983年)が「2~3か月に1度でも歯周組織の健康状態を保てる」と示したことが、現在の「メインテナンスは年に3、4回」という考えの根拠となっていると述べた。

 「再生療法後のメインテナンスの効果」については、CortelliniとTonetti(1994年)の論文をもとに論じた。それによると、メインテナンスを通じて良好な口腔状態を維持することが長期的な歯周組織の安定に必須となるとされ、患者がメインテナンスに来なくなることが最大の失敗要因であると述べた。氏自身も、これまで十数年のあいだメインテナンスに通っていた患者が、コロナ禍で受診控えをした2~3年で急速に口腔内の状態が悪化してしまった経験があるという。

 このように、臨床においていまは常識となっている考えについて、著名な研究論文からその根拠が詳説された。ほかにも「適切なプロービング圧はなぜ0.25Nなのか」「予後不良を起こすリスクファクターとは何か」「根分岐部病変の病態による予後の違い」「角化歯肉は歯の維持に重要か」などが同様に論じられた。

 また、口腔と全身疾患の関係については、「歯周病と新型コロナウイルス感染症」について最新論文をもとに解説が行われた。書籍内でも同テーマは扱っているが、刊行後にさらに新しい論文が出ているため、本Webセミナーで補足されることとなった。一方、糖尿病や心疾患など、その他の全身疾患との関連については、「書籍にまとめられている情報が最新である」と紹介した。

 講演後には質疑応答が行われ、「歯周治療において、非外科と外科のどちらを用いるべきか」「アドヒアランスの高い患者とはどのような人か」といった質問について、氏が論文と自身の臨床実感を交えて回答した。

 なお、次回のWEBINAR#30は、きたる10月12日(水)、吉松繁人氏(福岡県開業)、奥野幾久氏(大阪府開業)を招聘し、「無歯顎補綴の治療戦略―咬合採得を理解する―」をテーマに開催予定である。申し込みはこちらから。

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