2022年10月27日掲載

「歯科麻酔専門医の活躍の場を広げよう」をテーマに

第50回日本歯科麻酔学会総会・学術集会開催

第50回日本歯科麻酔学会総会・学術集会開催
 さる10月27日(木)から29日(土)までの3日間、昭和大学上條記念館(東京都)において、第50回日本歯科麻酔学会総会・学術集会(飯島毅彦会長、理事長)が「歯科麻酔専門医の活躍の場を広げよう」をテーマに開催された。新型コロナウイルス感染症対策を十分にとりながら3年ぶりの現地開催が実現した。

 開会式では、会長の飯島氏より「本会は、皆さんがディベートできるようなプログラムを多数設けた。積極的な意見交換の場としていただきたい」と開会の挨拶が述べられた。

 シンポジウム1「病院歯科における歯科麻酔科医の役割」では、縣 秀栄氏(栃木県勤務)、内田寛治氏(東大大学院医学系研究科生体管理医学講座麻酔科学教授)の座長のもと、須賀賢一郎氏(栃木県勤務)、黒住章弘氏(北海道勤務)、渡辺禎久氏(岡山県勤務)、枝長充隆氏(札幌医科大医学部附属病院麻酔科学講座准教授)が登壇。それぞれ口腔外科の現状と課題、経営の観点からみた歯科麻酔科医の立場、歯科麻酔専門医の活躍の場を広げるための戦略、歯科麻酔研修の必要性と将来の展望について詳説した。全4名の演者の講演をとおして、歯科麻酔科医の潜在的なニーズの高さに対して、ポジションの不足や社会的な認知度の低さから歯科麻酔科医が不足していることへの危機感が強調された。

 教育講演2「1.5次医療機関の推進と歯科麻酔科医の役割」では、立浪康晴氏(富山県開業)の座長のもと住友雅人氏(日本歯科医学会会長)、石田義幸氏(北海道勤務)が登壇。住友氏は、歯科麻酔の歴史とともに歯科麻酔科医としての自身の臨床実績を振り返った。石田氏は、かかりつけ診療所(1次医療機関)と入院を要する救急医療を担う医療機関(2次医療機関)をつなぐ地域支援型多機能歯科診療所(1.5次医療機関)の役割と協同連携モデルについて言及した。

 特別講演3「障害者歯科治療での安全な全身管理」では、中村全宏氏(東京都立東部療育センター歯科担当部長)の座長のもと、弘中祥司氏(昭和大歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門教授)が登壇。世界と日本の障がい者歯科医療の違いとともに、歯科治療時の身体(体動)抑制にあたり診療拒否につながる弊害に言及。歯科治療に対し、恐怖心を与えないための全身麻酔の利用について示唆に富む内容を披露した。

 その他にも、記念講演、公開討論、ランチョンセミナー、ハンズオンセミナー、一般口演、ポスター発表などプログラムは多岐にわたり、企業展示ブースも含め終日盛況となった。また、公開討論ではスマートフォンを利用したオンライン投票システムが採用され、聴衆も一体となった討論が展開されたことも印象的であった。

 なお次回学術大会は、きたる2023年10月6日(金)から8日(日)の3日間、出島メッセ長崎(長崎県)において、鮎瀬卓郎会長(長崎大)のもと「次の50年へ~共感と信頼~」をテーマに開催予定。

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