2022年11月1日掲載

「シン・顎咬合学―最先端歯科治療と踏まえるべき歯科的伝統の融合を再考する」をテーマに

第40回日本顎咬合学会学術大会・6支部学術大会、Web配信にて開催

第40回日本顎咬合学会学術大会・6支部学術大会、Web配信にて開催
 さる11月1日(火)よりWeb配信にて、特定非営利活動法人日本顎咬合学会(黒岩昭弘大会長、理事長)による第40回日本顎咬合学会学術大会・6支部学術大会が「シン・顎咬合学―最先端歯科治療と踏まえるべき歯科的伝統の融合を再考する」をテーマに開催されている。オンデマンド配信期間中に、特別講演、依頼講演、会員発表(口演、ポスター)、メーカープログラムなど100を超える演題が行われている。

 開会の挨拶で黒岩氏は「40周年記念特別企画」にふれ、(1)6支部おすすめ講演、(2)DT×Dr.マッチング、(3)叡智を学ぶシリーズ「先駆者からのメッセージ」、(4)咬合アーカイヴなど4つの企画を挙げた。また、本会のグローバル化を図るため、日本レーザー歯科学会との共同企画、日本補綴歯科学会との共催企画などを多数企画したことを説明した。

 そのなかで特に、特別講演にはTomas Linkevičius氏(リトアニア・ビルニュス大歯学部教授、リトアニア開業)が招聘され、「Zero Bone Loss Concept」の演題で講演が行われた。氏が提唱する「ゼロボーンロスコンセプト」とは、「『インプラントのデザインにかかわらず』歯槽骨頂の安定性を確立し維持する方法を示す明確な臨床プロトコールである」と説明。骨吸収をゼロにすればインプラントの失敗はなくなるとし、それには「インプラントデザイン」と「生物学デザイン」の2つの領域に留意するべきだと述べた。特にインプラント埋入時の軟組織の垂直的幅径が4mmであることをつねに求めているとし、自身のグループの長年の研究より従来の2mmでは骨吸収が起こることが判明したとのこと。また、1986年に発表された論文以来、インプラント埋入後1.5mm以内の骨吸収は成功とされてきたが、氏は「ゼロボーンロスコンセプト」を10年間使い続けてたどり着いた新しい提案と成功基準として、(1)10年後にまったく骨量が減っていない可能性がある、(2)毎年0.1mmずつ骨が成長することさえあり、(3)皮質骨の石灰化も期待できるとした。詳細は『ゼロボーンロスコンセプト』(小社刊)を参考にされたい。

 また、公開フォーラム「TCH とパラファンクション?あなたの口の病気・不快な症状、原因は噛み癖にあるかもしれません!」では、木野孔司氏(東京都開業)による「あなたの体調不良の原因は口の緊張癖にあるのかもしれません」、齋藤 博氏(東京都開業)による「TCH コントロールで100 歳まで自分の歯を保つ」、筒井照子氏(福岡県開業)による「生活習慣とお口の健康 ~良くない生活習慣からおこること~」の講演が行われた。木野氏と齋藤氏は、THC(Tooth Contacting Habit)と歯科疾患の関係を説明し、TCHをコントロールすれば顎関節症などの機能障害が改善すると説明。筒井氏も患者さんの態癖により、病名のつかない体調不良につながることがあるとし、態癖をコントロールすることができればそれら不調の改善に結びつくことが多いとした。講演後には上野道生氏(福岡県開業)の座長のもとディスカッションが行われ、TCHや態癖をコントロールすることで不定愁訴を訴える患者さんに対応できることがあることや、もっと患者さんへの機能障害の啓発が必要との意見もあり、活発な意見交換が行われた。

 なお本大会のオンデマンド配信は、2022年11月24日まで行われている。

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