2022年11月20日掲載

「共に歩むメタルフリー」をテーマに

第13回日本メタルフリー歯科学会学術大会開催

第13回日本メタルフリー歯科学会学術大会開催
 さる11月20日(日)、ベルサール飯田橋駅前(東京都)において、第13回 日本メタルフリー歯科学会学術大会(清水雄一郎大会長、本間憲章理事長)が開催され、「共に歩むメタルフリー」の大会テーマのもと約60名の歯科医療者が参集した。

 大会長講演では、清水氏(東京都開業)が登壇。「患者との信頼を築くラバーダムテクニック」の演題で、ラバーダム処置のメリットと、装着から除去までのノウハウを動画を交えて説明した。ラバーダムはよく「装着に時間がかかり、効率が悪い」といわれるが、装着さえ終われば、患者が口をすすぐたびに治療を中断する必要がなくなり、かつ治療中の会話に時間を取られなくなるため治療効率が上がるという。また、氏によるラバーダムの装着から除去の流れを示す動画は、その手際の鮮やかさに会場から感嘆の声が上がった。

 一般講演2では、天川由美子氏(東京都開業)が登壇。「MIコンセプトに基づく審美修復治療」の演題のもと、コンポジットレジンやラミネートベニアなどを応用したMIな審美修復治療のコツを動画付きで解説した。フロアブルレジンを流し込むときの気泡は変色の原因となる、MIといいつつも、エナメル質は研磨用ディスクで触る程度に削ったほうが接着がよくなるなど、氏の長年の経験に基づく知見が披露された。

 招待講演では、押村憲昭氏(愛知県開業)が「木も見て森もみる金属アレルギー治療の全て」の演題で講演。日常臨床では、「パッチテストで陽性、歯科金属アレルギーの疑いあり。口腔内の金属除去をお願いします」という皮膚科医からの診断書を持って患者が来院することがあるが、そうしたときにどう対応すべきか。実際、歯科材料が関与していないにもかかわらず、皮膚科医との連携が取れていないために本来は外さなくてもよい金属を除去してしまうケースは多い。それゆえ、氏はパッチテストの結果だけに基づき安易に口腔内の金属を除去することはせず、まず除去は簡単ではなく、患者に大きな負担となることを皮膚科医に説明し、歯科金属以外の原因は考えられないかを再検討していただくよう相談するという。皮膚科医への相談文例も豊富に紹介しており、まさに「木も見て森もみる」対応が示されていた。

 そのほか濱田泰子氏(東京都開業)が「予知性の高い歯内療法~診断と無菌的処置の必要性、現在のエンドの潮流~」、海老原 全氏(医師、東京都済生会中央病院院長)が「皮膚アレルギー診療の新しい流れ」の演題で講演した。
 
 これらの講演は後日、参加登録者にオンデマンド配信予定とのこと。

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