2023年7月2日掲載

初の北海道開催で約200名の参加者を集めて盛会となる

近未来オステオインプラント学会、第15回学術大会を開催

近未来オステオインプラント学会、第15回学術大会を開催
 さる7月2日(日)、北海道自治労会館(北海道)において、近未来オステオインプラント学会 第15回学術大会(今宮克明大会長、水上哲也会長)が、約200名の参加者を集め開催された。

 本会はこれまで東京で学術大会を開催してきたが、15回目となる今大会は初めての北海道開催となり、北海道支部長兼ブロック長の今宮氏(北海道開業)が大会長を、柳 智哉氏(北海道勤務)が実行委員長を務めた。

 午前は「リレー発表」と題して、国内の各支部から8名の代表者がそれぞれ15分間で発表を行った。第1部で、北海道ブロック代表の玉川博貴氏(北海道開業)は、ソケットリフト後にISQ値を経時的に測定し、その変化に応じて処置を判断した症例を提示した。関東東北ブロック代表の小島将太郎氏(東京都開業)は、長年医療者との信頼関係が築けないために、多くの口腔内トラブルを抱え、かつ不定愁訴のある患者に対し咬合再構成を行った経過を詳説した。中部北陸ブロック代表の柴田暁晴氏(岐阜県開業)は、CADソフトを用いた治療計画立案による、矯正およびインプラント治療の効率化について考察した。関西ブロック代表の榎本温子氏(兵庫県開業)は、無歯顎患者に下顎インプラントオーバーデンチャーを使用して咀嚼機能を改善した症例を供覧した。

 次いで第2部で、中国四国ブロック代表の嶋 宏一朗氏(山口県開業)は、治療中断を繰り返す患者に対し、患者術者間の信頼関係の構築とインプラント治療により天然歯の保存につながった症例を報告した。北九州ブロック代表の甲斐大嘉氏(大分県開業)は、動的ナビゲーションシステムであるX-ガイドを用いた臨床例を提示し、その有意性について検証した。南九州ブロック代表の牧角麻未氏(鹿児島県勤務)は、積極的な血餅の形成と保持のために、Er:YAGレーザーと炭酸ガスレーザーを使用した血餅形成の比較を行った。北海道ブロック代表の野村昌史氏(北海道開業)は、審美領域でのインプラント治療後に経時的な資料から評価を行うことで、リカバリーをより良好に行えた症例を提示し、その有用性を検討した。

 午後のシンポジウム「抜歯即時インプラントを再考する~その科学的根拠と現在地~」では、糸瀬正通名誉会長と高橋徹次副会長が座長を務め、小川直子氏(福岡県開業)、谷口昭博氏(北海道開業)、島田昌明氏(山口県開業)、城戸寛史氏(福歯大教授)が登壇した。超高齢社会において、抜歯即時インプラントは低侵襲で短期間、患者フレンドリーな治療であること、またその治療効果や適応症の選択、通法とは異なる時間軸の考え方、患者・術者双方の臨床実感などについてそれぞれ講演を行った。

 いずれの発表も充実した内容であり、本大会は盛況のうちに終了した。次回の第16回学術大会は、きたる2024年7月に福岡県において開催予定である。

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