2023年7月2日掲載

「歯科国際協力の未来像とは」をテーマに

第33回歯科保健医療国際協力協議会(JAICOH)総会・学術集会開催

第33回歯科保健医療国際協力協議会(JAICOH)総会・学術集会開催
 さる7月2日(日)、お茶の水ユニオンビル(東京都)において、第33回歯科保健医療国際協力協議会(JAICOH)総会・学術集会が開催され、歯科医師、歯科衛生士、歯科学生ら約30名が参集した。今回は「歯科国際協力の未来像とは」をテーマとし、遠藤眞美氏(日大松戸歯学部)の司会のもと、深井穫博氏(埼玉県開業、ネパール歯科医療協力会)による特別講演と、4題の団体発表が行われた。

 まず、河村康二氏(埼玉県開業、南太平洋医療隊)が海外での歯科治療時の倫理について語り、開会挨拶とした。

 その後、深井氏による特別講演「歯科国際協力の未来」が行われた。口腔保健に対する世界的関心が高まるなか、「どう社会とのつながりをもつのか」をテーマに、自身の経験を交えて話を展開した。深井氏は、グローバルヘルスの究極の課題は「地域による寿命、健康格差をどう縮めるか」とし、健康寿命を延ばすためには、現代人の死因の多くを占める、非感染性疾患をどう予防するかが大切であると解説。口腔保健の視点から、口腔機能と健康寿命の因果関係について図を用いながら説明した。また、自身のネパールでのボランティア経験を振り返りながら、国際ボランティア活動に臨む際の心構えについても語った。

 次の団体発表では、黒田耕平氏(日本モンゴル文化経済交流協会)から、VTRにてモンゴルでの活動報告がされた。続く、河野伸二郎氏(神奈川県開業、神歯大南東アジア支援団)、古瀬大治氏(石川県開業、ルマナイサモア)、藤瀬多佳子氏(大分県口腔保健センター)による口演では、それぞれ、フィリピン、サモア、スーダンなどでの活動報告、今後の展望が発表された。

 各講演や発表の後には、会場からさまざまな質問が寄せられた。ネパール出身の学生からの実感のこもった質問や、ボランティア活動中に記録したデータに対する指摘など、老若の境なく切実な議論が交わされた。最後に、白田千代子氏(医歯大元教授)が閉会の辞を述べ、熱気に包まれたまま閉幕した。

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