2023年7月9日掲載

「機能的マウスピース矯正の現在と未来」をテーマに

第5回プレオルソ研究会開催

第5回プレオルソ研究会開催
 さる7月9日(日)、「第5回プレオルソ研究会」(株式会社フォレスト・ワン主催)が「機能的マウスピース矯正の現在と未来」をテーマに開催された。2020年3月29日に開催予定されていた同研究会がCOVID-19の感染拡大という状況により中止となった後、約3年ぶりに再開されたもので、200名を超えるオンデマンド視聴者に加え、現地には約120名の参加者が参集した。

 まず岡崎好秀氏(国立モンゴル医科科学大客員教授)が登壇し、特別講演「~こどもの口はふしぎがいっぱい~小児の口腔機能発達不全症の原因とその対応」が行われた。「う蝕」「歯周病」「泣き」に対処する自身の小児歯科臨床や、子供が生まれて「嚥下」「捕食」「咀嚼」の順で食べる機能を獲得するまでの考え方とその支援、そして長きにわたる臨床経験からとらえた、1970年代から現在までの小児の口腔内の傾向について世代別に解説した。

 次に横井由紀子氏(松本歯科大准教授)が「マウスピース型咬合誘導装置における反対咬合の被蓋改善のメカニズム―有限要素法による検討―」と題して登壇し、有限要素法を用いたこれまでの研究と、プレオルソtypeⅢが下顎前突症例を改善する際の矯正力の発生について、有限要素法を用い視覚的に観察した研究について解説した。

 また続いて、椎名康雅氏(千葉県開業)による「小児歯科の中でのプレオルソの活用方法と効果的なプロトコル」、伊奈菜穂子氏(愛知県勤務)による「MFTの取り組みの実際~MFTの大切さと難しさ、当院での運用方法」、牧野正志氏(千葉県開業)による「プレオルソ治療後のアライナーによるⅡ期治療」、冨井明子氏(京都府勤務)による「不正咬合治療における装置選択基準~小児の口腔機能発育のために~」、大塚 淳氏(岡山県開業・プレオルソ開発者)による「機能的マウスピース矯正の意義と、プレオルソユーティリティの治療方法のご案内」が行われた。

 このうち牧野氏は、混合歯列期の患者への対応とⅡ期治療でのアライナー矯正治療について、プレオルソとブラケット矯正装置、アライナー型矯正装置のどれをいつ選択すると良好に推移するか、症例を交えて解説した。特に可撤式矯正装置であるプレオルソとアライナーについては、互いを補完し助け合うものとしてうまく使っていく装置であると講演を締めくくった。

 また大塚氏は、さまざまな機能的マウスピース矯正歯科を包括する研究会の発足について言及した。さらに自身の臨床から、安定した咬合を患者に提供できる治療方法・プレオルソユーティリティの症例を報告した。機能的マウスピース型矯正装置の可能性と今後のさらなる普及を感じさせる会となった。

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