2023年9月24日掲載

矯正歯科治療の患者の心の問題にフォーカス

包括的矯正歯科研究会(IOS)、2023年第3回例会を開催

包括的矯正歯科研究会(IOS)、2023年第3回例会を開催
 さる9月24日(日)、野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都)およびWeb配信にて包括的矯正歯科研究会(IOS)(綿引淳一代表)による2023年第3回例会が、「包括的矯正治療・矯正治療における心の問題とその対応」をテーマに開催された。現地には約40名、オンラインからは約20名が参加し盛会となった。

 大会長の榊原 毅氏(神奈川県開業)の司会・進行の下、まず代表の綿引氏(東京都開業)が挨拶に立った。綿引氏は、「包括的矯正歯科治療を行うなかで実はいちばん苦労したのが、患者さんとの向き合い方である。長期にわたる治療の間に、患者さんの期待や不安をマネージメントできるよう、ディスカッションをつうじて皆様と学んでいきたい」と述べた。

 その後、中納治久氏(昭和大歯学部歯科矯正学講座教授)の座長の下、午前の部を実施。まず、市川雄大氏(神奈川県開業)が、心の問題をテーマに収集した会員のアンケート結果を発表し、矯正患者のうち歯科恐怖症患者が占める割合など、興味深い設問への回答結果が示された。

 次に、矯正専門医院を中心に経営コンサルティングを行う,株式会社Value Linkの高橋信也代表取締役が「患者体験価値~ペイシェントエクスペリエンス~」をテーマに講演。高橋氏は、矯正歯科治療を受ける患者の特殊性として、「治療の緊急性は低いが、重要度が高い」ことを指摘し、そうした患者の期待値をいかにコントロールするかのノウハウを解説した。

 続いて、豊福 明氏(医歯大大学院医歯学総合研究科歯科心身医学分野教授)が「歯科恐怖症への心理的アプローチ」をテーマに講演。豊福氏は、歯の問題だけにフォーカスしたこれまでの歯科治療から、患者の心理社会的背景に基づき治療する“こころも診られる歯科医師”の重要性を強調した。

 午後の部では会員発表として、熊谷 舞氏(フリーランス歯科衛生士)が、「The Ortho-Perio におけるHygiene Work!」をテーマに講演。歯科衛生課程に則った歯科衛生士による矯正患者へのアプローチを解説。また、間所 睦氏(東京都開業)は、「インハウスアライナーにより治療した顔面非対称を伴う骨格性下顎前突症例」について発表し、デジタルシミュレーションを反映したアライナーを院内で製作した症例について、最新の知見を語った。

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