2023年10月30日掲載

講師に平野浩彦氏を招き、口腔機能検査の果たす役割について講演

歯科口腔医療研究会、第27回勉強会を開催

歯科口腔医療研究会、第27回勉強会を開催
 さる10月30日(月)、衆議院第一議員会館(東京都)において、歯科口腔医療研究会(加藤勝信会長)による第27回勉強会が開催され、国会議員をはじめ日本歯科医師連盟、日本歯科衛生士連盟、日本歯科技工士連盟の役員が参集した。

 冒頭、太田謙司氏(日本歯科医師連盟会長)は、挨拶のなかで歯学部を希望する学生が減少していることにふれ、歯科医師総数の大きな割合を占める団塊世代が年齢を理由に診療から離れることで、歯科医師不足が加速的に進むことに警鐘を鳴らした。次に加藤氏(衆議院議員)より、参加議員とともに口腔の健康に対する学びを深め、補正予算の獲得や診療報酬改定に意欲的に取り組む旨が述べられた。

 続いて、座長を務めた山田 宏氏(参議院議員)は、自民、公明両党によって10月31日に開催の政務調査会全体会議において議論される予定の「物価高への対応を柱とする新たな総合経済対策」を前に、参加議員らに談論してもらいたい事項に言及。特に地方創生臨時交付金が自治体によって支給額に大きな差があることを説明し、不合理な差を補填する一時金の支給を国に要請するとともに、今後適正に交付金が振り分けられるよう見直しを要望した。

 その後、平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長・研究所自立促進と精神保健研究チーム研究部長)による講演「高齢期における口腔機能検査の果たす役割:オーラルフレイルの概念も含め」が行われた。平野氏は、2018年度診療報酬改定において、「口腔機能低下症」が創設されたことにふれながらライフステージと口腔機能の関係について解説。オーラルフレイルによって「噛めなくなる→柔らかいものを食べる→食べる機能の低下」の負のサイクルが加速的に進行してしまうことに加えて、全身状態の悪化と生存率についても密接な関係があることを詳説した。そして、未病の段階でスクリーニングするための口腔機能検査の大切さを説いた。また、認知症患者の受け入れ態勢が歯科では十分に整っていないことにもふれ、歯科保健医療ビジョンを示しながら歯科口腔保健インフラ整備の必要性にも言及した。

 最後の質疑応答では、「口腔機能を維持するうえでの具体的な取り組み」について質問が寄せられた。平野氏は、「舌を含めた口腔の機能維持・向上させる体操やトレーニングの実施」についてアドバイスを送った。

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