2023年11月3日掲載

「インプラント周囲疾患のマネージメント」をテーマに

CAMLOG、Prof. Dr. Frank Schwarz来日公演会を開催

CAMLOG、Prof. Dr. Frank Schwarz来日公演会を開催
 さる11月3日(金)、秋葉原UDXシアター(東京都)において、「インプラント周囲疾患のマネージメント」と題した講演会(株式会社アルタデント、ヘンリーシャインジャパンイースト株式会社、株式会社アイ・デンタル・インフォメーション共催)が開催された。本会にはProf. Dr. Frank Schwarzが招聘され、約80名が参集した。

 Prof. Dr. Schwarzは、ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学(ドイツ)歯科・口腔医学センター口腔外科・インプラント科教授兼部長であり、数々の研究賞の受賞歴があり、特にインプラント周囲炎の研究で著名である。

 まず氏は、インプラント周囲疾患のリスクファクターとして、血糖値のコントロール不良、メインテナンスのケア不良、角化組織の不足という3つのおもな因子を挙げ、インプラント周囲粘膜炎を防ぐには軟組織のマネージメントが必要だと述べた。コンセンサスステートメントとして、インプラント周囲炎の発生や進行については修正インプラント表面と非修正インプラント表面とで差異は認められず、インプラントマテリアル(ジルコニア vs チタン)はインプラント周囲炎の発生率に影響はないとした。また、アバットメント/補綴マテリアルではインプラント周囲疾患のリスクは増加せず、アバットメント/補綴のコンベックスエマージェンス・プロファイルと30°を超えるエマージェンス・アングルの組み合わせは、インプラント周囲炎のリスクを高める可能性があるとも述べた。

 インプラント周囲炎の非外科的管理について、レーザー(補助療法/単独療法)やエアーポリッシング、aPDT‐抗菌光線力学的療法、局所抗菌薬、プロバイオティクス、全身性抗菌薬は追加的な効果は認められないので推奨せず、キュレットや音波、超音波を勧めた。

 次に、インプラント周囲炎の外科手技として、(1)Non-Reconstructive(非再建):class IIの再建、(2)Reconstructive(再建):4壁で覆われているclass Iで使用、(3)Modified Reconstructive(修正再建):それ以外のclass Iで使用、(4)Combined(複合):コンビネーションアプローチ――の4つのプロトコールを挙げた。また、エステティックゾーンにおいてどのように歯肉退縮を防ぐかについて、ボーングラフトの有無により歯肉退縮1.5mmの差が出るとし、インプラントプラスティを行うことでは歯肉退縮を誘発しないとも述べた。

 そして、ボリュームグラフティングを紹介し、この術式を行うことで歯肉退縮や出血、排膿なしの結果となった事例を挙げたが、粘膜の辺縁で退縮することもあるので、最初から前歯部で行うのではなく臼歯部から始めて慣れていくべきだとした。

 ディスカッションでは、おすすめの代用骨や、除染する際に使用する器具に関するさまざまな質問が飛び交い、有意義なものとなった。最後には黒田和彦氏(株式会社アルタデント代表取締役社長)から、きたる2024年11月14日(木)から16日(土)の3日間、バンコク(タイ)において開催されるOral Reconstruction International Symposium (ORIS)の詳細が述べられ、ぜひご参加いただきたいと締めくくられた。

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