2023年12月28日掲載

矯正歯科治療におけるさまざまなデジタルワークフローとアライナー矯正治療を語る

DIGITAL ORTHO LOUNGE開催

DIGITAL ORTHO LOUNGE開催
 さる2023年12月28日(木)、DIGITAL ORTHO LOUNGE(株式会社グローバルエイト主催)が開催された。本イベントは主催社によるセミナープラットフォームであり、今回はデジタル矯正治療とアライナー矯正治療を手がける11名の歯科医師によるプレゼンテーションと座談会で構成されている。

 前半は矯正歯科におけるデジタル技術とDIYのトピックを集め、「Face Scannerは本当に矯正歯科で使えるのか」(中嶋 亮氏、東京都開業)、「顎関節治療におけるデジタル化とは」(福本卓真氏、神奈川県勤務)、「歯科矯正用アンカースクリューのデジタルワークフロー化~MESHMIXERとFusion360の活用事例~」(小松昌平氏、日大松戸歯学部・GREEN’S ORTHO)、「DIY Orthodontics 日常臨床を豊かにするヒント」(月星陽介氏、愛知県勤務)、「DIY Orthodontics概論」(平岡孝文氏、東京都開業)、「Digital Based Orthodontics In House Series」(金尾 晃氏、岡山県開業)がそれぞれ講演した。

 また後半はアライナー矯正治療のトピックを集め、「アライナー矯正とスクリューおよび修復治療の併用」(中村竜三氏、大阪府開業)、「Phase I Retainerの作成方法と活用方法について」(渡部博之氏、愛知県開業)、ALIGNER RADIO LIVEとして「小臼歯抜歯ケースリカバリー」(南舘崇夫氏、福岡県開業/岡野修一郎氏、Aligner Studio)、「Digital TX for non-digital native generation」(有本博英氏、大阪府開業)が講演し、最後に南舘氏をモデレーターとして、演者全員による座談会と質疑応答が行われた。

 このうち小松氏は、みずから設立した歯科技工所での試行錯誤と歯科矯正用アンカースクリュー(TAD)の埋入用ステントのデザイン・製作・埋入のワークフローについて紹介した。若手歯科医師には苦手意識から避けられがちである一方で「歯科医師が行うべき」と考えられているというTAD埋入についてのアンケート結果を示し、デジタル技術はシミュレーションや確実性の向上を可能にしてくれ、自信のない若手歯科医師が一歩踏み出すためのきっかけを与えてくれると語った。

 また渡部氏は、Ⅰ期治療後の永久歯が萌出されるまでの期間に保定用として用いるリテーナーの製作方法と活用方法について解説した。萌出異常に対しても拡大床やアライナー型矯正装置、パワーチェーンなどさまざまな矯正装置や補助装置を用いた症例をとおし、より効果的な治療のための製造方法や装置の選択について語った。

 盛りだくさんな内容で行われた本会であったが、若手を中心にデジタル矯正治療のフィールドで旺盛な活動を展開している演者らの講演を受け、会場との質疑応答では多くの質問の声があがっていた。

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