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2024年1月26日掲載

新しい研究分野の開拓と歯科医学の発展を目的に研究者が参集

第39回歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い(令和5年度)開催

第39回歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い(令和5年度)開催
 さる1月26日(金)、歯科医師会館において、日本歯科医学会(住友雅人会長)による第39回歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い(令和5年度)が開催された。

 本会は、「学際的交流をとおし、新しい研究分野の開拓と研究組織の結成を推進すること、また臨学一体の具現化」を目的に互いにジャンルを超えた研究者が集い発表・意見交換の場とするものである。

 小林隆太郎氏(日本歯科医学会副会長)の開会の言葉の後、住友氏より主催者挨拶が行われた。住友氏は、挨拶のなかで本会の趣旨やこれまでの「集い」について振り返り、異なる視点からの意見交換をつうじて歯科医学の発展の新たなヒントを得る場となることに期待を寄せた。その後は、さまざまな領域の大学研究者を中心とした7題の発表とディスカッション、さらに同演題、同演者らによるポスターディスカッションが行われた。以下に演題および演者・座長を示す。

・「口腔疾患と認知症 ~歯周病、歯の喪失、咀嚼機能障害等、病態別に異なる認知症増悪メカニズム~」
演者:道川 誠氏(日歯大新潟生命歯学部高齢者医療学)
座長:池邉一典氏(阪大大学院歯学研究科有床義歯補綴学・高齢者歯科学)
・「薬剤関連顎骨壊死の新規治療法の開発」
演者:三田公麿氏(九大大学院歯学研究院インプラント・義歯補綴学)
座長:片倉 朗氏(東歯大口腔病態外科学)
・「キトサン含有新規抗菌歯科材料の開発に向けた、口腔内微生物に対するキトサンの抗菌活性と有用性の探索」
演者:三浦滉毅氏(鹿児島大学術研究院医歯学域歯学系歯科保存学)
座長:高柴正悟氏(岡山大学術研究院医歯薬学域歯周病態学)
・「人生を通した口腔機能管理を行うことを目的とした顎関節症に関する研究」
演者:島田 淳氏(東京都開業)
座長:小見山 道氏(日大松戸歯学部クラウンブリッジ補綴学)
・「機械学習搭載アプリケーションを導入したスマートフォンは口腔機能評価ツールとして実装可能か?」
演者:山本祐士氏(鹿児島大大学院医歯学総合研究科小児歯科学)
座長:有川量崇氏(日大松戸歯学部衛生学)
・「電子瞳孔計を用いた自律神経機能評価を舌痛症の診断と治療に応用する」
演者:岡安一郎氏(長崎大大学院医歯薬学総合研究科歯科麻酔学)
座長:松本卓也氏(岡山大学術研究院医歯薬学域生体材料学)
・「がん支持療法としての口腔粘膜炎に対する漢方薬物療法のメカニズム解明」
演者:王 宝禮氏(大歯大歯科医学教育センター)
座長:斎藤隆史氏(北海道医療大歯学部う蝕制御治療学)

 なかでも道川氏の講演では、歯の欠損と認知機能障害について、「歯科」と「認知機能」のテーマでよく取り上げられている「歯周病菌がアミロイドβを増加させることにより、アルツハイマー型認知症発症の因子となる」ことを解説した。その後は、抜歯や咀嚼機能の低下によっても認知機能の低下を招くが、アルツハイマー型認知症の分子メカニズムとは異なる「抜歯による三叉神経求心路の刺激の低下が海馬の神経細胞の脱落」を誘導することを詳説。「歯科」から「認知機能」低下の予防に貢献できる可能性など、示唆に富む内容を披露した。

 今回の発表では、有病者に対する歯科診療を見据えた研究テーマやアプリケーションを活用した口腔機能評価ツールの研究など、今後発展の望まれるテーマについて興味深い演題が数多く見受けられた。会場からは研究発表者に対して、積極的な意見や今後期待する関連領域との「集い」についても質問が寄せられるなど盛会となった。

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