2024年3月9日掲載

令和6年度診療報酬改定の概要について詳細な説明が行われる

日歯、社会保険担当理事連絡協議会を開催

日歯、社会保険担当理事連絡協議会を開催
 さる3月9日(土)、日本歯科医師会(以下、日歯、高橋英登会長)による都道府県歯科医師会社会保険担当理事連絡協議会が、歯科医師会館とWeb配信にて開催された。

 開会後、高橋会長は挨拶の中で、令和6年度診療報酬改定(以下、本改定)について、さる2月14日の中医協答申を受け翌日の臨時会見における見解をふまえたうえで、特に本改定の特殊性について言及。これまでの4月改定から6月改定に変更されたことや、一部財源の使用用途が明確に指定されている点など、従来とは大きく異なりかつ難解な改定になったとの認識を示し、各地域会員への周知徹底を訴えた。

 次に、小嶺祐子氏(厚生労働省保険局医療課歯科医療管理官)より、今回の改定の概要が述べられた。なかでも歯科固有の技術評価の見直しや対象患者の条件が緩和された項目、そして物価高騰に応じた適正な賃上げに向けた評価の新設や特例的な対応としての対象職種のベースアップ評価料(改定率+0.61%分)などが詳説された。

 その後は、小嶺氏の解説に補足する形で野村圭介常務理事、林 正純副会長、大杉和司常務理事、小野沢真一理事の4氏より、自身が担当している領域を中心に説明が行われた。特に林氏は、新設された「口腔管理体制強化加算(口管強)」(旧かかりつけ歯科機能強化型診療所〔か強診〕)に言及。新設された「根面う蝕管理料」とともに口管強についても追加で算定可能であることをふまえながら、改定前後の点数比較や施設基準の変更点を示すことで、口腔機能の検査から管理、指導・訓練まで一貫した算定が実現したことを詳説した。また大杉氏は、「40歳未満の勤務歯科医師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分(+0.28%分)」における補綴装置等の評価の見直しとして、増点された項目を中心に解説した。

 第24回医療経済実態調査より、2023年春闘の主要企業の賃上げ率に対し、医療・介護分野の賃上げ率はそのレベルに追いついていないことが明らかになったことからも、本改定の「医療従事者の賃上げを実施するための特例的な対応」で確実に報酬として還元されることは評価に値する。しかし、難解な改定となったことで算定漏れが相次げば本来受け取れる報酬が受け取れなくなるばかりか、算定率の低い評価項目については次回以降の改定で廃止されてしまう可能性もある。なお、改定項目の詳細については「新聞クイント」5月号で特集を掲載予定。また4月刊行予定の『歯科保険請求2024』(クインテッセンス出版刊行)をご参照いただきたい。

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