2024年3月20日掲載

「病院歯科の役割とオーラルフレイル対策」をテーマに

2023年度第4回昭和大学歯学部同窓会 ポストグラデュエートセミナー開催

2023年度第4回昭和大学歯学部同窓会 ポストグラデュエートセミナー開催
 さる3月20日(水)、昭和大学歯科病院(東京都)において、2023年度第4回昭和大学歯学部同窓会 ポストグラデュエートセミナー(昭和大学歯学部同窓会主催、小原希生会長)が開催された。荒れ模様の天候にもかかわらず、同大学出身の歯科医師を中心に約30名が参集した。

 本セミナーでは、まず桑澤実希氏(昭和大藤が丘病院)が「いま変わりつつある病院歯科の役割」の演題で講演。院内歯科の責任者を務める自身の経験をもとに、業務の詳細と周術期における歯科介入の効果を述べた。歯科が入院患者の口腔に介入することで、入院期間の長期化の防止、術後の肺炎リスク・感染リスクの低下などにつながるのは周知の事実である。しかし氏はそれに加え、「楽しみの制限されている入院生活において、入院患者の口腔関連のQOLを上げられるのが病院歯科の役割」だと強調した。

 続いて、古屋純一氏(昭和大教授)が登壇。「義歯から始めるオーラルフレイル対策と食支援」の演題のもと、摂食嚥下における義歯の役割や、訪問診療で要介護高齢者の義歯を製作する際のテクニックを解説した。欠損歯が多く顎堤の吸収が著しい難症例では、適切に下顎位を設定し、義歯の動揺を最小限にすることが課題となる。その成否を分けるのが咬合採得だが、氏はろう堤を均等に軟化する、均等に軟化しやすい材料を併用する、ろう堤の接触面積を減らす、口腔内で押さえて咬合床の動揺を減らす、デンチャースペースに適した咬合床を用いる、などの手法を披露した。

 この他、いま注目の口腔機能低下症に関しても、診断のために必要な検査や装置について、一般歯科目線で説明がなされた。

 それぞれの講演後には質疑応答の時間が設けられ、主に高齢患者への対応について会場から活発に質問が行われた。

関連する特集