2024年3月25日掲載

「歯科ヒヤリ・ハット事例収集等事業 第1回報告書」が公表される

日本医療機能評価機構、記者会見を開催

日本医療機能評価機構、記者会見を開催
 さる3月25日(月)、日本医療機能評価機構(東京都)において、産科医療補償制度運営部と医療事故防止事業部による記者会見が開催された。

 医療事故防止事業部は、厚生労働省からの委託事業「歯科ヒヤリ・ハット事例収集等事業」を運営している。全国の歯科診療所からヒヤリ・ハット事例を収集・分析して広く情報を共有し、医療安全対策推進を目的として2023年10月より参加登録・事例収集を開始した。このほど「歯科ヒヤリ・ハット事例収集等事業 第1回報告書」の公表とともに、歯科業界へより周知を行うべく会見が行われた。

 まず産科医療補償制度運営部より、木村 正氏(日本医療機能評価機構 産科医療補償制度再発防止委員長)がこれまでの事業の経緯と報告の概略について説明した。本事業は報告事例が増え、今や3,000症例を超えるデータベースとなったという。脳性麻痺の傾向などの医療者の関心が強く、患者への影響が大きなテーマを中心に調査・分析し、繰り返しのアップデートで実用的な情報提供や、医療事故防止の研修会開催などにつながったと述べ、広く情報を収集して活用しやすくまとめ、医療現場へ還元する本事業の重要性を強調した。

 続いて「医療事故情報収集等事業 第76回報告書の公表」として坂口美佐氏(医療事故防止事業部)が説明。昨年は6,000件を超えて集まった報告の特筆すべき点として、新型コロナウイルス感染症処方薬の特性や、永久気管孔を造設した患者対応や、徐放性薬剤を投与する患者の入退院・転院時の投薬トラブルがあげられ、医療機関と薬局の双方が新規薬剤や処置についての理解が不十分な実態が述べられた。これをふまえ、日常臨床の場面ごとに分類して医療安全のポイントをイラストでまとめたページを作成してWebサイトに掲載したので、定期的に最新情報を確認するよう周知をよびかけた。
 
 最後に木村安沙氏(医療事故防止事業部 課長代理)より、発足したばかりの「歯科ヒヤリ・ハット事例収集等事業 第1回報告書」公表について解説が行われた。本調査には全国で225の歯科診療所が参加登録を行い、2023年10月から12月に事例収集を行ったとのこと。氏は「今回の報告は初回で登録数の少なさもあり、集まった事例は少数にとどまったが、先に報告のあった他の事業のように、より多数の登録と報告があれば実態が明らかになり、再発防止の手掛かりや医療安全の進歩のための情報提供につながる可能性もある」と述べた。残念ながら敬遠される傾向にあるが、本事業で得られる利益について周知と理解のうえ、さらなる参加登録と事例の提供をよびかけた。「歯科ヒヤリ・ハット事例収集等事業」登録はこちら

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