2024年4月10日掲載

月星光博氏が「外傷歯治療の正義~Justice in Dentistry~」をテーマにWebセミナー

クインテッセンス出版株式会社、第48回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第48回WEBINARを開催
 さる4月10日(水)、月星光博氏(愛知県開業)によるWEBINAR#48「外傷歯治療の正義~Justice in Dentistry~」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは、月星氏の著書『JUSTICE in Dentistry 歯科の正義』のプロローグからエピソード3までの内容をベースに行われた。

 月星氏はまず、スケートボード転倒事故による外傷ケースを挙げ、外傷歯治療における正義を問うことから問題提起。その後、30症例超の圧倒的なケースをもとに外傷の分類別、および治癒形態の違いに沿って講義を展開させた。

 なかでも、著書のなかではあまりふれられていない自院での外傷歯治療の患者の統計(年別患者数や外傷の分類別発症頻度など)を披露した。その圧巻の症例数から導き出される傾向と結果は目を見張るものであり、今後の外傷歯治療の方向性を示唆するものであった。

 また、月星氏が師と仰ぐ“外傷歯学の父”故・Dr. Jens O Andreasenの「外傷歯のもっとも良い治療は、歯医者に行かないことである」という言葉を引用した。なんとも皮肉な言葉であるが、月星氏の臨床はTAB(Transient Apical Breakdown)のケースを筆頭に、実は治療介入せずに経過観察していくというケースが多く、これは“診断の正義”と“治療の正義”を理解したうえでの圧倒的な診断力によるものであろう。これまでの臨床経験と探求熱心さ、その分析の賜物による症例を供覧した。

 最後はきたる7月12日から15日にかけて一橋講堂(東京都)で行われる第22回国際外傷歯学会世界大会(泉 英之大会長)の紹介で締めくくられた。月星氏は初日のDr. Domenico Ricucci(イタリア開業)とのセッション、最終日の最終セッションなどに登壇予定とのことで、告知当初から話題を集めており、多くの参加者が見込まれている。Dr. Ricucciをはじめとする海外からの著名演者、精鋭が集められた国内演者による講演を聴けるまたとない機会になりそうである。

 セミナー後の質疑応答では、外傷歯(脱落歯)の保存方法について言及。市販の保存液よりも牛乳の優位性を強調。歯根膜の性質、性状を考えれば、牛乳がもっとも最適と力説した。当初の予定時間を上回る質疑応答を含めて2時間超のセミナーとなり、視聴者にとってたいへん有意義な時間となった。

 なお、本WEBINARは今後も2024年5月11日まで新規購入することができる。次回のWEBINAR#49は、きたる5月9日(木)、筒井照子氏(福岡県開業)を招聘し、「口腔機能障害のリハビリテーション 臨床マニュアル」の講演タイトルで開催予定。両セミナーの申込みはこちらから。

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