学会|2026年10月13日掲載

「歯科医療の未来を考える」をテーマに

第14回 日本包括歯科臨床学会学術大会・総会開催

第14回 日本包括歯科臨床学会学術大会・総会開催

 さる10月10日(土)、11日(日)の両日、パピヨン24ガスホール(福岡県)において、第14回日本包括歯科臨床学会学術大会・総会(長田耕一郎大会長、倉田 豊学会長、筒井照子顧問)が、大会テーマを「歯科医療の未来を考える」として開催された。本会では、これまで同学会で通底するテーマとしてきた患者の一歯単位から全身・生活までを診る包括的な歯科医療に加えて用いることの不可欠になってきたデジタル技術や新しい外科治療材料について、語り議論することが目指された。

 プログラムでは「包括歯科臨床の未来」「超高齢社会における歯科医療」「デジタルデンティストリー」「総括講演:歯周治療と矯正治療の連携―長期症例にみる包括的治療の成果と共通原則の探求」の4つのセッションが設けられ、基調講演として木下俊克氏(福岡県開業)、交流講演として張 祖澤氏(台湾開業)、教育講演として今井美恵氏(松本歯科大学)および藤井みずき氏(歯科衛生士、愛知県・藤井歯科医院勤務)、外来講師として杉元敬弘氏(京都府開業)、総括講演として筒井照子氏、筒井祐介氏、筒井武男氏(いずれも福岡県開業)が登壇した。また、各セッションでは、本会所属の若手を中心とした会員発表もあわせて行われたほか、テーブルクリニック、歯科技工士セッション、コデンタルセッション、ポスター発表が行われた。

 そのうち張氏による「材料補填を超えた『生理的誘導』へのパラダイムシフト」では、「歯科における再生治療が『埋める』から『導く』に転換しつつある」とし、骨再生を単なる欠損部の填塞ではなく、細胞・生物学的シグナル・細胞外マトリックスが協調する微小環境の再構築として捉える考え方および材料について解説した。自家由来フィブリン成分、凍結乾燥同種骨、コラーゲンを組み合わせたCRMを重度の骨欠損に適用した臨床症例の供覧では、骨量の回復とインプラント周囲組織の長期安定性が認められた旨が示された。

 また今井氏と藤井氏は、病院歯科および訪問歯科における障がい者や施設に入所している高齢者における歯科治療、そして義歯の「食べる機能」における有用性を、実際の事例を映像などで示しながら、超高齢社会や地域社会といった日本の現状における歯科の健康を守る重要性と歯科医療従事者の役割について述べた。

 最後の総括講演では、演者らが故・筒井昌秀氏とともに筒井歯科医院で築いてきた、歯周治療と矯正歯科治療の連携を基盤とする治療体系が紹介された。初診から39年、18年、7年が経過した症例を通じて、歯周組織や歯列・咬合の長期的な経過と治療の転帰が示されるとともに、次世代の臨床家が新たな技術や感性を取り入れながら、同じ治療哲学のもとで協働し、臨床を発展させていることが語られた。デジタル技術や再生治療材料の進歩、超高齢社会への対応など、歯科医療を取り巻く環境が変化するなかでも、患者を長期的に診続け、その機能と生活を支える包括歯科臨床の意義をあらためて考える大会となった。

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