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亜鉛

【読み】
あえん
【英語】
Zinc、Zn
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】血清亜鉛は、代表的な生体必須微量元素である。亜鉛欠乏症は、微量元素欠乏症のなかで最も頻度が高い疾患である。血液、尿の亜鉛を測定するのは、主に体内亜鉛の状態、特に欠乏の状態の把握を目的とする。
【適応疾患名】成長遅延、皮膚およびその付属器管の新陳代謝異常、性機能低下、骨格の発育不全、味覚・嗅覚の減退、精神神経症状、高カロリー輪液施行、創傷治癒力の低下、傾眠。
【検査法】亜鉛の定量には、尿中亜鉛の測定と血清亜鉛の測定方法があるが、後者のほうが有用とされている。実際には、亜鉛の測定方法は、比色法と原子吸光分析法の二法があるが最近では、原子吸光分析法が頻用されている。
1)早朝空腹時に採血する。
2)採血にあたっては溶血をさけ、採血後はすみやかに血清分離をする。
3)血清1~2mlに20%トリクロル酢酸2mlを加え、サーモミキサーで強く、攪拌し20分間放置する(除蛋白)。
4)遠心分離3000回転、10分間で上清をとる。
5)沈渣からも同様の方法で再度亜鉛を抽出する。
6)上清を用い原子吸光分析(波長213.9nm)で測定する。
7)尿はそのまま原子吸光分析で測定する。
【正常値】
全血 男960~300μg/dl
    女1190~470μg/dl
血清 男45~l38μg/dl
    女58~114μg/dl
尿   451±165μg/dl
【結果・評価】原子吸光分析法による測定結果は,比色法よりやや低い値を示すことが多い。正常人の生理的変動の要因として、性差はないとする報告もあるが、男性より女性に高値を示す。年齢別では、新生児期、小児期は成人よりも高値を示す。日内変動は、午前8時頃が最高値を示し、午後3~9時の間に最低値を示す。食後1~3時間で20%の減少を示す。また、薬剤との関係では、副腎皮質ホルモン、経口避妊薬、抗生物質、抗癌剤などの影響を受け低値を示す。