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アルカリ性リン酸酵素

【読み】
あるかりせいりんさんこうそ
【英語】
alkaline phosphatase、ALP
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【同】アルカリフォスファターゼ
【意義・目的】フォスファターゼはリン酸化合物を加水分解する酵素の総称である。正リン酸モノエステルを基質とし、リン酸基のところで加水分解する酵素はアルカリ性フォスファターゼ(ALP)と酸性フォスファターゼ(ACP)がある。ALPは至適pHがアルカリ側(pH8~10付近)に存在する。
 ALPは生体内に広く分布しているが、特に骨、軟骨、小腸粘膜、肝などに多く、細胞膜に多在して膜を通してのリン酸の転送に関与していると考えられている。ALPの増大または減少が各種疾患にみられ、またALPは数個のアイソザイムに分解され、各分画の由来と診断的意義が重要視される。
【適応疾患名】骨疾患、肝、胆道疾患、副甲状腺機能亢進症、Hodgkin病、サルコイドーシス、アミロイドーシス、壊血病、Kretine病。
【検査法】基本的には用いられるモノエステルの水解によって生じる無機リンまたはアルコールを定量する方法で、使用する緩衝液の種類、濃度、pHなどの相違により種々の測定法がある。
1)Bodansky法:古典的方法でpH10.9の緩衝液下で血清を基質としてβグリセロリン酸ナトリウムを反応させ、酵素反応によって遊離したリン酸のP量を求める方法である。感度が低いために現在ではほとんど用いられていない。
2)Kind-King法:pH10で血清とフェニールリン酸とを反応させ、一定時間後に生じたフェノールをアルカリ性酸化剤の存在下4-アミノアンチピリンと縮合させて紅色のキノンに変え、比色定量する。単位時間あたりの生成量をもって酵素活性(King-Armstrong単位)とする。本法は多く用いられてきたが、rate assayができないことから、Bessy-Lowry法と代わられつつある。
3)Bessy-Lowry法:pH10.5の緩衝液下で血清と基質としてのP-ニトロフェニルリン酸を酵素反応させ、生成する。P-ニトロフェノールにアルカリを加えて酵素反応を停止すると同時に、黄色に呈色させて比色定量する。単位時間当りの生成量をもって酵素活性(Bessy-Lowry単位)とする。
【正常値】
Bodansky法 1.5~4.0U
Kind-King法 2.7~10.0U(King-Armstrong単位)
Bessy-Lowry法 35~105U/l
【結果・評価】
 増加する疾患:骨疾患(Paget病、クル病、骨軟化症、骨肉腫、癌の骨転移など)、肝、胆道疾患(閉塞性黄疸、肝癌、肝膿瘍、胆管炎など)副甲状腺機能亢進症、Hodgkin病、サルコイドーシス、アミロイドーシスなど。
 減少する疾患:壊血病、クレチン病など。