アルドラーゼ
- 【読み】
- あるどらーぜ
- 【英語】
- aldolase、AlD
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】1943年、WarburgとChristianが悪性腫瘍で血清アルドラーゼ活性が増加することを報告して以来、Warburg-Christian法として腫瘍と解糖系酵素との関係が研究されてきた。アルドラーゼは、全ての臓器組織の解糖系の中間に位置し、Fructose-1-6 diphosphate(FDP)⇆アルドラーゼ⇆Dihyd roxyacetone phosphate(DAP)+Glyceradehyde-3-phosphate(GAP)の反応を触媒する酵素である。骨格筋、心筋、脾臓に多く認められるFDP aldolase A型、肝臓、腎、腸に多く認められるFIP aldolase B型、脳、神経系、乳腺に分布するC型がある。実際には、FDP aldolase活性について測定されることが多く、この酵素活性値を測定することにより、筋組織の損傷を検出することができる。
【検査法】測定方法には、比色法と紫外部測定法がある。
1)早朝空腹時に採血する。
2)溶血に注意し、採血後は早急に測定する。
比色法:F-1、6-Pを基質とし、アルドラーゼ反応によって得られたGAP、DAPに2、4―ジニトロフェニルヒドラジンを加えヒドラジンとし、アルカリ性下で発色させて540nmで測定する。
紫外部法:GAPをシリオースリン酸イソメラーゼによってDAPに転化し、NADHの存在下でα―グリセロリン酸デヒドロゲナーゼを共役させ、その際のNADHの減少を340nmで測定する。
【正常値】
男 8.5~13.0IU/l
女 6.0~11.2IU/l
【結果・評価】アルドラーゼ活性値は、食事の影響は少ないが、激しい運動などにより活性値の上昇をみることがある。幼・小児の活性値は、成人の2~4倍を呈する。活性値の著じるしい上昇を示す場合、筋疾患(多発性筋炎、進行性筋ジストロフィー)心疾患(心筋梗塞では発作後24~48時間に上昇、4~5日後正常値に復する)、肝疾患、腎疾患、悪性腫瘍で軽度~中等度の上昇をみる。また、アルドラーゼ活性値の低下は、果糖不耐症、Tay-Sachs病があげられる。
主に、骨格筋組織の異常を検出する目的であるから、他の検査項目CPK、LDH、GOT、ミオグロビン尿との組み合わせで検査をすすめる必要がある。