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安静空隙の測定

【読み】
あんせいくうげきのそくてい
【英語】
measurement of the free way space、interocclusal rest space
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【同】フリーウェイスペース、FS
【定義】下顎安静位における上下顎歯列の咬合面間距離を計測することをいう。
【意義・目的】下顎安静位は歯の接触のない生理的に安定な下顎位であり、健全歯列者では下顎安静位と咬頭嵌合位では前歯部で平均2~3mmの安静空隙量がある。このことから無歯顎者の垂直的な顎間距離を決定するために利用し、下顎安静位から安静空隙量を減じた値を垂直的な顎間距離とする。
【検査法】下顎安静位の測定を行い、咬含位との差を算定する。無歯顎および残存歯同士の咬合を失った者では、義歯のない状態で下顎安静位を測定する。次いで義歯を装着し、咬合位との差を安静空隙とする。測定誤差を小さくするため、5回前後測定して、その平均値を安静空隙とする。
【正常値】2~3mm
【結果・評価】顎位には垂直的な下顎位、水平的な下顎位があり、安静空隙は垂直的な顎間関係と関連する。したがって安静空隙量が適切に与えられて製作された義歯は、垂直的な顎間関係が適切ということになる。垂直的な顎位を誤った場合には臨床的にさまざまな影響を及ぼす。垂直的な顎間関係が高く決定された場合には、嚥下困難、下顎義歯床下粘膜の全体的な発赤と疼痛、会話時に人工歯のカチカチ音がするなどの臨床症状が起こる。低く決定された場合には顔貌の短縮、閉口筋群の疲労感やときとして顎関節痛などの臨床症状が起こる。