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アンモニア(血液)

【読み】
あんもにあ(けつえき)
【英語】
ammonia(blood)、NH3
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】アンモニアは有害で、特に中枢神経系に強く働く。そのため正常時は、血中アンモニアの一部はグルタミンの生成に利用されるが、大部分は肝内で尿素に合成後、腎より排泄される。したがって、これらアンモニア処理機構に障害があると高アンモニア血症を起こす。一過性に高アンモニア血症を来す疾患には先天性尿素サイクル酵素欠損症、新生児一過性高アンモニア血症、門脈副血行路の発達を招く各種疾患、Reye症侯群などがあるが、日常、血中アンモニア測定を必要とするのは肝性昏睡が疑われる場合で、その病態把握に重要な検査である。
【検査法】現在、行われている方法としては、密閉容器内で試料と強アルカリを作用させ、遊離拡散したアンモニアガスを酸液中に補集し、滴定または比色する微量拡散法。陽イオン交換樹脂によってアンモニウムイオンを吸着させ、Naで溶出して発色させ比色定量するイオン交換法。採血した試料をただちに除蛋白し、濾液について直接Berthelot反応を行ってアンモニアを比色定量する直接比色法。血漿試料中のアンモニウムイオンをグルタミン酸脱水素酵素を用いて定量する酵素法などがある。
【正常値】測定法や発表者によって変動があるが、それらを要約すると、拡散法で70~190μg/dl、イオン交換法で20~70μg/dl、直接比色法で30~150μg/dl、酵素法で12~70μg/dlとなる。
【結果・評価】血液のアンモニア値は生理的に運動、食事蛋白などで影響を受け、測定手技によっても抗凝固剤、採血後の時間、動脈血と静脈血などで差が生じる。病的に高値を示すものとしては、肝性昏睡、肝性脳症、劇症肝炎、肝硬変、尿毒症、ショック、先天性尿素サイクル酵素欠損症、先天性アミノ酸代謝異常症、新生児一過性高アンモニア血症、Reye症候群、anoxia、肝外肝内シャントなどが考えられる。低値を示すものには、低蛋白食、貧血などがあげられる。