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位相差顕微鏡法

【読み】
いそうさけんびきょうほう
【英語】
phase contrast microscopy
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】被検体の光学的厚さ(屈折率×厚さ)の差によって生ずる光の位相の差を、屈折と干渉現象によって眼にみえる明暗の差にかえて識別できるようにしたのが、位相差顕微鏡である。これによって、無色透明な生の細胞、微生物などを固定・染色などの特殊な操作をせずに、徴細構造、運動などを明確に観察できる特徴ある方法である。
【意義・目的】臨床検査では、癌の細胞学的早期診断の一方法として応用されている。その他、体液、分泌物中の細菌、血球その他の含有物の検査、細菌、原虫などの検出、あるいは生体観察にも用いられる。
【検査法】新鮮な被検材料の適量をスライドグラス上にとり、1~2滴の封入媒液(生理食塩液、リンゲル液など)をおとし、カバーグラスを載せて軽く指圧を加えると、カバーグラス一面に材料が広がる。標本を乾燥させないため、カバーグラスの局囲を白色ワセリンまたは流動パラフィンで密封して検鏡する。
【結果・評価】細胞診にあっては、Papanicolaou(1954)の総合判定基準に従い、5段階に分類判定される。本法は、自然に近い状態で染色標本と同様に、微細な構造まで観察できる利点があるが、標本は保存性に乏しい。したがって、写真撮影またはスケッチをしておく必要がある。また、一般には固定染色法が併せて行われる。