インジカン(尿)
- 【読み】
- いんじかん(にょう)
- 【英語】
- indican(urine)
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】蛋白質中のtryptophanが腐敗すると、indolとなり、腸管から吸収された後、肝臓内において酸化されてindoxylとなり、硫酸と結合してindicanとなる。これが血液中に入り、尿中に排泄される。正常尿中にもindicanは少量含まれているが、体内に生じた腐敗機転の程度を示すものであり、また尿中のindicanの反応は先天性代謝異常のスクリーニング検査法として行われている。
【適応疾患名】著名な上昇が認められるものは、(1)便秘や腸閉塞などによる腸内容物の停滞、(2)腹膜炎や腸結核あるいは脚気などによる腸内異常分解、(3)腸管以外の部位に癌腫・壊疽のある場合、(4)健康者では便秘や大量の肉食後などである。また腎機能不全患者の尿中のindican量は減少し、血中のindican量は増加する。またその他の疾患でも著明に変化を示すことが多ので、鑑別は正確にする必要がある。
【検査法】indicanは強酸で加水分解するとindoxylとなり、さらに酸化すると水に不溶性のindigoredまたはindigoblueとなる。これをクロロホルム層に移行されて発色させて観察する。陽性の場合には、クロロホルム層が各検査法により藍色ないしは紅色を呈する。Jaffe法、Obermayer法、Jolles法がある。
【結果・評価】尿は蛋白質や核酸代謝の中間代謝産物や終末産物、有機・無機塩類、解毒物質(indicanなど)、微量なビタミン・ホルモン・酵素類などを含んでおり、これらの質的・量的変化を検査することにより、また蛋白質、糖、アセトン体、ヘモグロビン、ビリルビンなど異常物質の検出により、腎臓や尿路の疾患、心、肝、内分泌などの機能を簡便に検索することが可能である。indicanの検出は体内に生じた腐敗機転を検査するとともに、先天性代謝異常症の尿スクリーニング検査法の1つとして行われる。Hartnup病、blue diper syndrome、phenylketonuriaなどでは陽性を示す。