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インドシアニングリーン試験

【読み】
いんどしあにんぐりーんしけん
【英語】
indocyanine green (ICG) test
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】インドシアニングリーン(以下ICGと略、暗緑色の色素)を静注し、この色素の血中停滞率から、肝細胞の色素摂取率や異物排泄機能を推定する検査法である。
【目的】静注されたICGの90%以上は肝細胞に取り込まれ、変化を受けずに肝から胆汁中へ排泄される。したがって、この検査は以前よく使われていたBSP(bromsulfalein)試験と同じ目的(肝の異物排泄能の検査)で使われるが、BSPよりも、色素が肝以外で処理される比率が少なく、またショックなどの副作用も少ないことから、最近はもっぱらICG試験が行われている。
【適応疾患名】肝障害の初期、急性および慢性肝炎、肝硬変、肝障害治療の判定など。
【正常値】
1)15分停滞率(Rl5):ICG注入前の血漿をブランクとして、ICG 5mg/ml溶液を体重10kg当り1mlを静注後l5分での血漿の吸光度から血漿ICG濃度(C15)を求め、次式より停滞(Rl5)を計算する。
R15=C15/1.00×100 正常値は0~10%。
2)血漿消失率(K):ICG静注前および静注後5~10~15分に採血し、得られた血漿中のICG濃度から、血漿消失率が算出される。正常値は、0.168~0.206。
3)最大除去率(R max):0.5mg/kgから5.0mg/kgの範囲内で、ICG投与量を組合わせて投与し、生体の最大除去能から肝の予備能を推定しようとする値である。正常値は3.18±1.62mg/kg/分。
【結果・評価】肝の(異物排泄)機能が低下するにつれて、15分停滞率は上昇し、血漿消失率は低下する。前者が35%以上、後者が0.06以下であれば、肝硬変の可能性が非常に大きい。また最大除去率は潜在性肝硬変の診断、肝切除時の範囲決定や残存肝細胞機能の予測に有用である。
 ただし、この試験の適応は、黄疸を伴わない肝疾患で、黄疸がある場合には、この色素(ICG)が肝内でビリルビンと競合する移行過程があるので、結果の判定が難しくなる。
 付)Rotor症候群や体質性ICG排泄異常症では、ICG停滞率が著しく高値になることがあり、一般の肝障害とは区別して考慮しなければならない。