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HB抗原、抗体の検査

【読み】
えいちびーこうげん、こうたいのけんさ
【英語】
hepatitis B virus antigens & antibodies test
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】B型肝炎ウイルス(HBV)には、HBs、HBc、HBeの3種の抗原が知られており、それらの抗原とそれらに対する抗体(HBcは抗体のみ)を検査することにより、現在HBVに感染しているのか、過去にHBVに感染を受けたことがあるかなどがわかる。
【適応】現在HBVに感染しいるのか、過去にHBVの感染を受けたことがあるのかを調べる。
【検査法】これらの抗原、抗体検査には、受身赤血球凝集法(PHA)、逆受身赤血球凝集法(RPHA)、免疫血球粘着法(IAHA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および酵素抗体法などがある。まず、スクリーニングテストとしてHBs抗原、抗体の検査が行われる。
 1)HBs抗原、抗体の測定:これには血球凝集法(PHA・RPHA)とRIA法が主に行われている。前者は簡単な方法で多量の検体を短時間に測定でき、安価で定量性があるが、検出感度がRIA法に比べると低い。一方RIA法は感度が高い利点はあるが、高価で定量性に欠ける欠点があり、使用目的に応じて測定法を選択する。HBs抗原検査のRPHA法は、HBs抗体を吸着させた感作血球と被検血清中のHBs抗原との血球凝集反応によりHBs抗原の検出を行う方法である。試薬はキットとして発売されており、スクリーニングテストが陽性のものについては確認試験を行う必要がある。HBs抗体のPHA法はHBs抗原と感作した固定ヒツジ赤血球を用いる凝集反応によって、HBs抗体を検出する方法で、既知のHBs抗原陽性血清を用い、凝集阻止が起こることにより確認する方法である。RIA法はサンドイッチ法を利用した固相法キットが発売されている。
 2)HBc抗体の測定:測定にはRIA法が行われ、専用キットが発売されている。
 3)Hbe抗原、抗体の測定:これらは主に免疫拡散法やRIA法により測定されている。これらの詳細については専門書を参照のこと。
【評価】HBs抗原陽性の場合はHBVへの感染を意昧するが、HBs抗原陽性でも肝炎の既往のないものはキャリアと呼ばれる。このキャリアはHBVを保持しているため感染予防上重要である。HBs抗原陽性の場合、Hbe抗原、抗体およびHBc抗体の検査が行われるが、Hbe抗原陽性の場合は感染力が強いので注意が必要である。それに対して、HBs抗原陽性でもHbe抗体が陽性であれば感染力はほとんどない。なお、キャリアの場合はHBc抗体が高力価で検出される。