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ABC法

【読み】
えーびーしーほう
【英語】
avidin-biotin complex method、avidin-biotin-peroxidase complex method、ABC method
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】白血病、リンパ腫細胞マーカーなどの血球マーカーの免疫学的検索に用いる検査法である。免疫学的手技で同定されるマーカーは、酵素や細胞内蛋白、細胞膜上に分布する糖蛋白や免疫グロブリンなどの蛋白である。
【検査法】本法は、スメアに対する検索、組織切片の検索に用いられる酵素抗体法の1つである。
酵素抗体法のためのスメアの作成
1)ヘパリン採血(5~10ml)。PBSにて2~3倍に希釈後Ficoll-Conrayにて必要な細胞成分を分離する。
2)PBSにて洗浄。
3)PBSにて1×106個/mlに細胞数を調整する。
4)サイトスピンを用い、50μ/well+10%ヒトアルブミン1滴の条件で遠心、300rpm、3分間。
5)風乾、なま乾きの状態で-20℃冷アセトン5分間。
6)ストアを保存する。染める時は、まとめて染める。
マーカー検索のためのABC法
1)クリオスタットで薄切切片を作る。4μm。
2)切片を一20℃C冷アセトン、10分で固定する。
3)PBS(pH7.4)にて5分×3回洗う。
4)ブロック血清(ウマ血清1:10)をかける。温室30分。
5)ブロック血清を捨て、ただちに至適希釈一次抗体をかける。37℃、30分インキュベート。
6)PBSにて5分×3回洗う。
7)至適希釈二次抗体(ビオチン化抗マウスIgG、ビオチン化抗ウサギIgGなど、一次血清の作られた動物に対応させる。)37℃、30分。
8)PBSにて5分×3回洗う。
9)avidin-biotin-peroxidase complexをかける。37℃、30分。
10)PBSにて5分×3回洗う。
11)DAB反応10分(diaminabenzidine 5mg/16ml PBS+200μl 3%H2O2)。
12)1%オスミウム溶液につけて反応増強、2分。
13)水染、核染(メチル緑もしくはヘマトキシリン)、アルコール・キシロール透徹、封入。
【結果・評価】本法のスメアに対する利点として光顕的に直接陽性細胞を証明することができ、長期間の保存が可能である。重要なことは、良好なスメアを作製することであり、ABC法による染色は安定している。
 次に、凍結組織片に対する利点として、組織上でマーカーの同定ができるため、病理切片との対比することにより多くの情報が得られる。
 ABC法の染色手技の要点として
1)一次抗体、二次抗体の至適濃度を決定すること。
2)positiue controlを入れること。
3)反応をスムーズに行うこと。
4)標本を途中で乾燥させないこと。
 他の染色法と比較して、ABC法は、avidinとbiotin(Vitamin H)との高い親和性を利用しており、PAP方よりも数倍感度が良い。