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エステル型コレステロール

【読み】
えすてるがたこれすてろーる
【英語】
ester cholesterol
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】コレステロールは細胞膜の主要成分であり、各種ステロイドホルモンや胆汁酸の母体でもある。組織では遊離型、血液ではエステル型(約70%)が多い。遊離型とエステル型とを合わせて総コレステロールという。エステル型と総コレステロールの比を血清コレステロール・エステル比といい肝実質障害により数値が低下する。血中のコレステロール濃度は、肝および腸管の機能と密接に関係し、また血中コレステロールのエステル化は主として肝に依存するので、その測定は体内脂質代謝異常の指漂としてのみならず、肝機能を知るうえでも重要といえる。
【検査法】比色測定法にはLiebermann-Burchard反応とKilliani反応が用いられる。近年、前者を応用したZurkowski法、Abell法、L-B反応直接法などが使用されていたが、現在では酵素を用いる方法が水溶液系で使えるので普及している。
 酵素法はエステラーゼによりエステル型コレステロールを遊離型とし、オキシダーゼにより酸化しコレステ-4-エン-3-オンと過酸化水素とし、その過酸化水素を用いてペルオキシダーゼ存在下で4-アミノフェナゾンとフェノールを酸化縮合、生じるキノンを比色定量するのである。この方法で総コレステロールと遊離コレステロールを別々に測定できる。
【正常値】総コレステロール:130~250mg/dl、遊離型コレステロール:50~80mg/dl、エステル型コレステロール:80~170/dl、エステル比:65~80%。
【結果・評価】
 高値:ネフローゼ、甲状腺機能低下症、胆道閉塞症、糖尿病、家族性高リポ蛋自血症、動脈硬化症、膵炎など。
 低値:甲状腺機能亢進症、肝硬変、吸収不全症候群、アジソン病、癌末期、α-リポ蛋白欠損症など。
 コレステロール・エステル比の低下:急性および慢性肝炎、肝硬変症、閉塞性黄疸、ネフローゼ、レシチン・コレステロール・アシルトランスフェラーゼ欠損症など。
 血清コレステロールは人種、環境、年齢、性別で変動し、日内変動や食事による影響は少ない。季節的には春夏のほうが秋冬より高いので留意すべきである。
 高値を示す場合には、リン脂質、トリグリセリド、β-リポ蛋白の増加を伴ったものが多く、低値を示す場合は、高度肝障害、悪性腫瘍などの消耗性疾患の末期例が多い。