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活性化部分トロンボプラスチン時間

【読み】
かっせいかぶぶんとろんぼぷらすちんじかん
【英語】
activated partial thromboplastin time、APTT
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】被検血漿に血小板因子としてのリン脂質を十分に補って、主として内因系の凝固因子(VIII、IX、XI、XII因子など)の異常を測定する方法であるが、さらに凝固反応で最も時間を要する接触相の因子をカオリン、セライト、エラジン酸などで活性化して測定する方法である。
【意義・目的】APTTは凝固機序からみて内因系凝固と共通系凝固の因子が関与しており、これらの凝固因子としてはXIII〉、XI、IX、VIII、X、V、II、I因子があり、その他にカリクレイン、キニン系としてFletcher因子とFitzgerald因子がある。
 臨床的にはこれらの因子の欠損症(先天性と後天性)があり、先天性で多くは単一の因子欠損症であり、特に重症型のVIII因子欠乏症(血友病A)と・因子欠乏症(血友病B)では著明に延長する。その他の因子欠乏症ではAPTTは軽度に延長する。また、凝固因子が10%以上の軽度型血友病では軽度延長する。一方、後天性では複数の因子欠損があり、凝固時間の延長も軽度である。これに属するものにはビタミンK欠乏症、肝機能障害、DICなどによる凝固障害がある。
 ビタミンK欠乏症では、その依存性因子としてII、IX、X因子の産生低下により減少し、肝機能障害ではプロトロンビン、X、IX、I因子の産生障害により減少する。DICではフィブリノーゲン、II、V、VIII因子などが消失するため減少する。また、阻止物質の出現として血友病AおよびBにおいて血液製剤の輸注を受けると、しばしばVIII因子およびIX因子に対して抗体としての阻止因子が発生することがある。SLE、分娩後にも抗体としての阻止因子が発生することがある。これは特定の凝固因子を阻止するのではなく、凝固因子間の相互作用を阻止するものである。骨髄腫やマクログロブリン血症ではM蛋白としての異常蛋白がフィブリン重合を阻止する。
 APTTは外因系凝固のVII因子は関与しないので、この因子欠乏症では正常値を示す。XIII因子はフィブリノーゲンが形成されてから作用する因子であるため、この因子欠乏症では正常値を示す。フィブリノーゲンは凝固機序の最終段階にて作用する因子であり、この因子の欠乏する無フィブリノーゲン血症では血液の凝固は起こらない。
 APTTの短縮している場合には、凝固亢進状態として血液中に組織トロンボプラスチンの流入や活性物質としてXIIa、XIa、IIaなどの出現による。この状態は血栓準備状態やpre-DIC状態で認められることがある。一般にはNAPTTが測定される。
 APTTはヘパリン投与により約2倍に延長するのが有効とされる。
【適応疾患名】Fletcher因子やFitzgerald因子欠乏、凝固因子では、XII、XI、IX、VIII、X、V、II、I因子欠乏、肝障害、ビタミンK欠乏症、DIC。
【検査法】
 1)血液9容:抗凝固剤1容の割合で採血して混和するが、実際には3.2%クエン酸ナトリウム0.3mlを入れた目盛付遠心管に肘静脈より血液2.7mlを採血して、遠心管に静かに注入して3.0mlとし、静かに混和する。
 2)これを3000rpm.10分間遠心して血漿分離し、冷蔵庫(2~6℃)に保存する。
 3)測定時にマイクロピペットで血漿0.1mlをとり、小試験管(内径8mm、長さ75mm)に注入し、37.0℃で約3分間加温する。
 4)あらかじめ37.0℃に保温したAPTT試薬0.1mlを加えて軽く振盪混和し、37.0℃インキュベーターで5分間放置して反応させる。
 5)5分間放置後、0.025M塩化カルシウム液0.1mlを添加すると同時にストップウォッチを始動させ、軽く振盪して37.0℃インキュベーター内に約20秒間放置後に試験管を取り出して、軽く傾斜しながら凝固特間を測定する。
【正常値】目視法で30~45秒、器械法で25~40秒。
【結果・評価】実際には対照正常血漿と比較して5秒以内を正常値、10秒以上を異常値としている。