顆粒球スクリーニング検査
- 【読み】
- かりゅうきゅうすくりーにんぐけんさ
- 【英語】
- screening test for granulocyte
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】顆粒球は血液塗抹標本で分類される白血球のうちの好中球、好酸球、好塩基球のことである。いずれも生体防御機構に関係しているが、その働きにそれぞれ違いがみられる。好中球は遊走能、貪食能、殺菌能が強力であり、好酸球は貪食能、殺菌能は低いが、即時型アレルギー反応への関与と寄生中に対する特有な作用をもっている。好塩基球はIgE関与の抗原抗体反応に際して即時型アレルギー反応を引き起こす能力をもつ。これら生体防御関与の機能的な差異から顆粒球のスクリーニング検査を実施するには、現在、日常によく使用されている方法として、白血球墨粒貪食試験とNBT(nitroblue tetrazolium)還元能検査がある。以下、これらにつき概説する。
【検査法】
1)墨粒貪食試験:ヘパリンで処理した毛細管に被検血液10容を吸い込み、次いで墨汁液1容を吸引し、転倒混和する。その後、毛細管内の液全部をガラス板上に出し、よく混和してふたたび毛細管内に吸引する。管の両端をパテなどで封じて乾燥防止を施してから、37℃で4時間孵置する。内容をよく混合させた後、塗抹標本を作製し、ライトまたはギムザ染色を行い、水洗、乾燥、顕微鏡検査をする。
2)NBT還元能検査:ヘパリン処理ヘマトクリット管(毛細管)をマジックインキで3等分目盛りをつけ、耳朶より採取した血液を2本の毛細管の第1目盛りまで吸引させる。ただちに一方の管にNBT液を吸い上げ、もう一方の管には継代培養したプドウ球菌添加NBT溶液を吸い上げる。2分間混和し、2本の毛細管をシャーレ内に入れ37℃、15分で反応させる。その後15分静置したのち数回混和後、毛細管の中央を折り、スライドグラス上に検液を滴下し、塗抹する。ライト・ギムザ二重染色をして鏡検する。
【結果・評価】上記2方法の判定基準は次のとおりである。
墨粒貪食試験では、6型の貪食細胞を分類し、貪食率、貪食度を求め、貪食能を判定する。貪食細胞の分類は、0型:墨粒をまったく貪食していないもの、I型:小さな墨粒2~3個、II型:大小の墨粒数個、III型:大型墨粒約10個、IV型:大型墨粒多数、V型:墨粒が細胞質全体にみられるもの、である。
貪食率=貪食細胞数/貪食細胞数+非貪食細胞数
貪食度=(I型+II型+III型+IV型+V〉型)×細胞/(0型+I型+II型+III型+IV型+V型)×細胞数
NBT還元能検査では、好中球を100個数えるうちにホルマザン形成している細胞の率を求め陽性率とする。
貪食能が最も強いのは単球であり、次は好中球、好酸球の順となり、リンパ球は極度に低く、好塩基球ではまったくみられない。
貪食能不全を来す疾患には遺伝性C3欠損症、遺伝性C5欠損症、actin機能異常症、tuftsin欠損症がある。続発性としては、リウマチ様関節炎、多発性骨髄炎、SLE、肝硬変、重症感染症、ステロイド長期投与例などがある。NBT還元能試験は貪食細胞代謝活性の一部、すなわち活性酸素生成能を知ることであり、臨床的には慢性肉芽腫症、白血球G6PD欠損症の診断、これらの保因者のスクリーニング、急性細菌感染症の鑑別などに用いられる。