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簡易循環機能検査

【読み】
かんいじゅんかんきのうけんさ
【英語】
simple method of functional test of the heart
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】心臓機能障害の存在や、その程度を簡単に臨床的に調べる方法である。
【意義・目的】マルチネット検査法、その他数多くの検査法が考えられているが、いずれも一長一短があり、この種の検査の結果のみで循環機能を判定するのは危険であるが、これらの検査では特別の器具などを必要としないので、スクリーニングとしての価値は大きい。
【検査法】検査法には次記するようなものがあるので適宜用いる。
 1)マルチネット検査法:膝屈伸運動試験による心臓機能検査法で椅坐位で脈拍数および最大・最小血圧を測定した後、膝の屈伸運動を連続20回行わせ、その直後3分および5分後椅坐位で脈拍および血圧を測定する
 2)ポイントテスト:循環器系の安定性および心臓の作業能力を示す方法である。
(1)仰臥時と起立時の脈拍数の差。
(2)仰臥時と起立時における血圧の差。
(3)一定の運動を与え、その直後における脈拍数の変化。
(4)前記の運動によって増加した脈拍数が正常に復帰するまでの時間を測定する。
これらを表によって点数を計算する。
 3)ヤギック簡易心臓機能検査法:心臓機能不全のある患者に、1~2時間軽度の運動を行った後に検査を行う。
 4)モスラー呼吸中止法:検査前被検者を5~10分間安静傾臥させた後に、普通呼吸の送中で呼吸を中止させ、可及的長く停止させる。
【結果・評価】マルチネット法の判定は健康者では3分後には脈拍、血圧共に回復する。心臓機能不全患者では運動直後脈拍は30以上増加し、最大血圧は上昇していないか上昇しても軽度、最小血圧はさらに上昇し、回復に5分以上を要する。
 ポイントテストの判定は、満点は18点で青壮年男子では10~14点が正常、9点以下は病的で、点数が少ない程機能が悪いことを示している。
 ヤギック法の判定は、運動前後の尿ウロビリノーゲン反応を検査すると、運動後には陽性になっている。
 モスラー法の判定は、呼吸を中止し得た時間の測定、呼吸中止前および再開始直後より1分ごとに脈拍数および血圧の試験前の値に回復するまで測定を行い判定する。
 歯科の急患で循環機能傷害のある患者の場合に行って参考になることがあろう。