換気力学的検査
- 【読み】
- かんきりきがくてきけんさ
- 【英語】
- examination of ventilatory mechanics
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】換気のメカニクスの検査
【意義・目的】気体の状態を表現する3要素、すなわち、圧、量、流速をもとに、肺、胸郭系の機能を力学的に把握しようとするものである。量/圧で示されるコンプライアンス(ふくらみやすさ)、圧/流速で示される抵抗、および圧×量で示される換気仕事量に大別できる。
コンプライアンスは肺コンプライアンスと胸郭コンプライアンスとに分類でき、肺コンプライアンスは、さらに静肺コンプライアンスと動肺コンプライアンスとに分けられる。静肺コンプライアンスは肺の弾性の指標であり、肺内外の圧差を1cmH2O変化させたときの肺容量の変化を示す。動肺コンプライアンスは通常換気中における動的状態の肺コンプライアンスであり、各肺胞のコンプライアンスの不均等性の指標となる。胸郭コンプライアンスは胸郭の弾性の指標である。
呼吸抵抗は肺抵抗と胸郭抵抗とに分類でき、肺抵抗はさらに肺組織抵抗と気道抵抗とに分けられる。力学的特性からすべての抵抗はさらに粘性抵抗、弾性抵抗、慣性抵抗に分類でき、このうち粘性抵抗の値が最も大きい。肺組織抵抗は呼吸運動の際の肺組織の摩擦の大きさの指標である。気道抵抗は気体が気管、気管支などの気道を通過するときの通りやすさの指標であり、1L/secの流速を発生させるために必要な圧力差を示す。胸郭抵抗は呼及運動の際の胸郭の摩擦の大きさの指標である。
換気仕事量は呼吸運動に必要なエネルギーの指標であり、呼吸運動に要した圧とその結果動いた気体量との積で表わされる。
【検査法】
1)静肺コンプライアンス:横軸に食道内圧を、縦軸に肺気量をとった圧量曲線上で、単位圧変化に対する量の変化を求める。
2)動肺コンプライアンス:通常の呼吸中において、吸気終末時と呼気終末時に流速が0となった時点の肺気量を食道内圧で除して求める。
3)肺組織抵抗:気道開口部の圧と胸腔内圧との差を流速で除して求める。
4)気道抵抗:気道開口部の圧と肺胞内圧との差を流速で除して求める。
【正常値】
1)静肺コンプライアンス:0.2L/cmH2O
2)胸郭コンプライアンス:0.2L/cmH2O
3)肺組織抵抗:1.7cmH2O/L/sec
4)気道抵抗:l.5cmH2O/L/sec
5)呼吸抵抗:2.7cmH22O/L/sec
【結果・評価】
1)コンプライアンス増加:肺気腫。
2)コンプライアンス減少:拘束性肺疾患、肺水腫、肺うっ血、心不全、胸郭異常、肥満。
3)気道抵抗増加:閉塞性肺疾患。