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間接ビリルビンおよび直接ビリルビン

【読み】
かんせつびりるびんおよびちょくせつびりるびん
【英語】
indirect bilirubin and direct blirubin
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】血清ビリルビンにジアゾ試薬を作用させる場合、前もって反応促進剤(アルコールなど)を加えないとジアゾ反応(Hijmans van den Bergh反応)が起こらないものを間接ビリルビン、促進剤がなくてもこの反応が起こるものを直接ビリルビンという。
【意義・目的】間接および直接ビリルビンを定性、定量することにより、黄疸の種類や原因を鑑別診断するのに役立つ。
【適応疾患名】種々の原因によって起こる黄疸が適応となる。黄疸は血清中のビリルビン濃度が上昇することによって起こり、その原因は次の3つに大別される。
 1)閉塞性(肝後性)黄疸:胆道が胆石・腫瘍などで閉塞されて胆道内圧が上昇し、障害を受けた肝細胞索からビリルビンが血中へ逆流する。この種の黄疸の初期には、直接ビリルビンが増加する。次いで、二次的な肝細胞排泄機能障害が起これば、間接ビリルビンも増量してくる。
 2)肝細胞性(肝性)黄疸:肝炎などで肝細胞が障害され、ビリルビンの排泄能低下、さらにビリルビンの血中への逆流が起こる。この種の黄疸の初期には間接ビリルビンの増加、その後、直接ビリルビンの増加も加わる。
 3)溶血性(肝前性)黄疸:溶血により、ビリルビンが過剰に産生され、肝細胞のビリルビン排泄能を越えた場合に起こる。この場合、間接ビリルビンが増加する。
このほか、Gilbert病では主として間接ビリルビンが、Dubin-Johnson症侯群やRotor症候群では主として直接ビリルビンが増加する。
【正常値】健常者の血中ビリルビンの大部分は間接ビリルビンで占められる。
 血清ビリルビン濃度の正常値は0.2~1.0mg/dlである
【結果・評価】ビリルビンは、細胞内皮系でヘムから生合成され、肝細胞に取り込まれてグルクロン酸抱含を受け、胆汁中へ排泄される。肝細胞に取り込まれる前で抱合を受けていないもの(遊離型、中性では非水溶性)は間接反応を、肝細胞で抱合を受けたもの(抱含型、水溶性)は直接反応を示す。
 したがって、間接ビリルビンの増加は、ビリルビンの生成過剰(溶血性黄疸など)、肝細胞の排泄機能障害(肝炎の初期など)でみられ、尿ビリルビンは陰性である。一方、直接ビリルビンの増加は、胆道内圧の上昇(胆石、胆道腫瘍など)、肝細胞索の破壊(胆道閉塞、肝炎の中、後期など)で起こり、尿ビリルビンは陽性となる。
 *間接ビリルビンは遊離型、直接ビリルビンは抱合型にほとんど一致するが、完全には一致しない。