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寒冷凝集反応

【読み】
かんれいぎょうしゅうはんのう
【英語】
cold agglutination
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】 ヒト血清中にその人自身の赤血球を加えて0~4℃に放置した際に起こる特異的な赤血球の凝集を寒冷凝集反応といい、この反応を起こす凝集素を寒冷凝集素という。
【意義・目的】 ヒト血清中には寒冷凝集素(IgM)が存在し、これが0~4℃の低温で赤血球と結合する際に補体を活性化し、これが赤血球膜上に付着し、ABO式血液型とは無関係に凝集を起こす。マイコプラズマ肺炎や寒冷凝集素病、リンパ腫などに罹患すると寒冷凝集価が上昇する。そのため、寒冷凝集反応は、マイコプラズマ肺炎の補助的診断や、溶血性貧血の病型を決定する際の有効な検査法である。
【検査法】
 1) 血液約5mlを取り、直ちに37℃の孵卵器か温浴槽の内で凝固させ、血清を分離する。20℃以下では病的に増加した寒冷凝集素は自己赤血球と結合するので凝集素価が低下する。
 2) 患者血清の希釈列を作成しこれに0.25%O型血球浮遊液を加え振盪混和し、冷蔵庫(0~5℃)に一晩放置、20℃以下で凝集を観察し、凝集の起こっている試験管の最高希釈倍数を凝集素価とする。また、37℃で30分加熱し、凝集の消失するのを確認する。
【結果・評価】 寒冷凝集素反応の正常値は検査法により異なるが、64倍までとし、128倍以上を陽性とする。
 マイコプラズマ肺炎では、約50%が陽性を示す。発病後2~3週間で最高値に達し、4~5週間で漸減し、8週で健常者の上限値まで低下する。そのため、病気別に2回以上の検査を行い、その値に4倍以上の差があった場合有意と判定する。
 寒冷凝集素病は、凝集素価が異常に高値を示す。本症では寒冷凝集素が患者体内で多量に生産されるため、5,000~20,000倍程度まで上昇し、1,000,000倍を越す例もある。
 その他、SLE、悪性リンパ腫、レイノー症候群、肝硬変、敗血症、伝染性単核症、原発性マクログロブリン血症などで高値を示す。