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既往歴

【読み】
きおうれき
【英語】
past history
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義】病歴における既往歴は、患者の出生時より現在に至る疾病に関する記録であり、詳細に聴取する必要があり、現病疾患の診断あるいは治療上に、大きな意義をもつことが多い。既往の疾患が現病に対し直接密接な因果関係を有していることもあれば、既往の疾患によって現病が病態変化された症状を呈したり、既往の疾患があるため現病の治療に際しては配慮をしなければならないこともありうる。
【既往歴の記録事項】患者の出生地、出生状態、奇形の有無、生育した場所、また可能であれば、母親の妊娠中の疾患有無(内分泌疾患、感染症、風疹など)を調べる。その他ある期間特定の場所に住んだかどうかということから、家族の経済状態および生活環境を正しく知ることも必要である。次いで、生後の発育状態、乳幼児期に罹患した疾病(麻疹、百日咳など)、予防接種などについても記録することが望ましい。その後いかなる健康状態であり、罹患した疾病について病名のみでなく、罹患時の年齢、症状、治療(手術を含む)、経過などについて可能なかぎり詳しく聴取する。女性では、月経、妊娠などについてききただす。過去の疾病については、もし当時診察にあたった医師がわかれば、その医師と連絡をとり、当時の病状、治療その他を確認することが必要である。既往歴の一部として、職業上の問題がある。特に職業病といわれるものの疑わしい場合については特にこの点を慎重に調べる。
 既往歴としては、生活上の嗜好、習性や習慣が問題になることがある。タバコは1日に何本、酒は日本酒何ml(何合)、コーヒー(何杯)というふうに具体的に記録する。その他、薬物を常用することによって、種々の障害の原因となりうる。短期間でも中毒性肝障害や腎障害、アレルギー性疾患などの原因となるし、長期連用のものとしての睡眠剤、鎮静剤、トランキライザー、興奮剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、利尿剤、下剤などについては、いかなる動機理由で使用し始めたか、用いた期間、量についても必要である。麻薬(覚醒剤を含む)については、法的な問題もあるし、患者が嘘をつくこともあるので注意を要する。