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機能的残気量測定

【読み】
きのうてきざんきりょうそくてい
【英語】
functional residual capacity、FRC
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】肺の弾性収縮圧と胸部自体の拡張圧とが釣り合った肺容量、つまり安静時呼気終末時に肺に残っている気量をいう。これは呼気予備量(expiratory reserve;ERV)と残気量(residual volume;RV)から成る。
【意義】機能的残気量は、肺・胸郭系の可動性と気道抵抗によって決まり、このレベルが呼吸の基準位となる。通常、全肺容量の約40%を占める。日本人成人男子の平均は2080mlであり、これは加齢とともに増加する。closing capacityとの関連から肺のガス交換に大きく影響する。
【検査法】測定法には、ガス希釈法とボディプレチスモグラフ法がある。
 1)ガス希釈法:ガス希釈法はさらに閉鎖回路法と開放回路法に分かれる。
(1)閉鎖回路法:肺内で不活性なガス(He、Ne)を指示ガスとし、バック内に既知濃度の指示ガスを一定量とり閉鎖回路内で被験者に反復呼及させる。指示ガス濃度が肺内で被験者とバック内とで平衡に達すると次の関係式が成立つ。
 FRC=Vbag・F1/F2-(VD-Vbag)(Vbag:バック内の容積、F1:測定前指示ガス濃度、F2:平衡時指示ガス濃度、VD:死腔量)。
 閉鎖回路法はさらに、測定中の被験者の酸素消費に対し、酸素を一定流量で補給する方法と測定中の酸素消費に見合う酸素を最初から回路内にいれる方法がある。前者を恒量式(定量式)閉鎖回路法、後者を変量式閉鎖回路法という。
(2)開放回路法:指示ガスとしてN2を用いる。被験者に一方向弁を介し純酸素を吸入させN2を洗い出す。
FRC=VE・FEN2/FN2
   =VE・FEN2/0.8
(VE:呼気量、FEN2:洗い出し終了時のN2濃度、FN2:洗い出し前のN2濃度≒80%)
 2)ボディプレチスモグラフ法:測定原理はBoyleの法則(一定温度条件では一定量のガス容積は圧力と反比例)に基づく。密閉された箱に被験者を入れ、マウスピースを通し呼吸させることで呼吸に伴う容積変動を箱の容積変動、または圧力変動としてとらえる。
【結果】
増加:慢性肺気腫、気管支喘息、呼吸筋麻痺。
減少:肺線維症、腹水、横隔膜神経麻痺胸椎後湾症。